「人を大切にする会社」って
どんな会社

小柳建設株式会社

小柳建設株式会社
企業情報

・事業内容:新潟県を中心に、全国で土木事業、建築事業、浚渫事業、舗道事業、埋蔵文化財支援事業、Holostruction事業を行う。
・創業:昭和20年(1945年)
・本社所在地:新潟県三条市東三条1丁目21番5号
・従業員:223名(2023年4月時点)
・企業ホームページ:https://n-oyanagi.com/

企業情報
Point 1
課題の「見える化」からスタートする業務の効率化
Point 2
属人性をなくすことによる、全体の底上げと休みの取りやすさ
Point 3
社歴・地位に関係なく、アイデアや意見を出し合える環境

体質が古いと言われがちな建設業界にあって、社内改革により、有休取得率や残業時間の削減、育休の取得率などで飛躍的な向上をしてきた小柳建設。「働きやすい会社」と「業績を上げる会社」を両立させてきた、その要因はどこにあるのでしょうか。「変化を楽しもう。」をモットーに掲げる会社の、その「変化」について話を伺いました。

写真レポート

地元飲食店の挑戦を後押しする「出張カフェ」
地域交流や、地元の活動を後押しする場として、加茂オフィス(新潟県加茂市)1階のコワーキングスペースを定期的に一般開放。地域の飲食店(カフェやベーカリー、精肉店など)の方々が「出張カフェ」として、販売しています。社員もランチに活用することで、午後からの仕事の活力につながっています。「出張カフェ」の情報は、公式HPやSNSでもお知らせしています。
ABW(Activity Based Working)の推進
加茂オフィスには多様なワークスペースがあり、フリーアドレス制を導入。建設現場勤務の社員や営業など、外出の多い社員もビジネスチャットや、建設現場の状況を移動せずとも共有できる自社開発のアプリケーション(Holostruction・All-sighte)を活用するなど、「いつでも、どこでも」働ける環境を構築。効率的に働く場所を自由に選べるABWを推進しています。
遠隔での安全パトロールの実施
ABW(Activity Based Working)推進の一例として、パトロールアプリやWEBカメラなどを活用した遠隔での安全パトロールがあります。「いつでも、どこでも」現場の安全管理が可能になったことで、パトロールの回数も増加。現場への移動時間減も叶え、生産性の向上にもつながっています。
「建設現場で働く人たちを楽にしたい」から生まれた新事業
建造物の3Dモデルやドキュメントなどを現実空間に投影するソリューション「Holostruction(ホロストラクション)」を日本マイクロソフト株式会社と共同開発。土木、建築、浚渫といったこれまでの領域とは違った新事業ですが、根本は 「建設現場で働く人たちを楽にしたい」という想いから始まったものです。
Family Dayの開催
社員の家族を職場に招待し、小柳建設を体験し、感じることができるイベントFamily Day(ファミリーデー)を毎年開催。イベントでは縁日やキッチンカーの出店ほか、最新のデジタルコンテンツ視聴やプロカメラマンによる家族写真の撮影体験などができます。2023年は社員だけでなく、日頃の感謝を込めて、地域の方々も参加できるイベントとして開催されました。
社内表彰制度の充実
受賞者が役員や上司からの“推薦”で決まるのではなく、各プロジェクトの達成目標や計画を自ら事前申告し、それを達成できたら受賞の資格を得られるという“エントリー方式”を導入。同制度は20代の社員が中心となって設計されました。今後も年齢を超えて、いい仕事を“褒め合う”社内文化の醸成を目指しています。
ロー・ルーム&ハラスメント窓口の開設
無料で法律相談が可能な窓口(ロー・ルーム)を開設。周囲には相談しづらいプライベートな悩み(相続・離婚・消費者被害など)を会社の顧問弁護士に相談することができます。また、ハラスメントにまつわる相談が可能な窓口を外部機関に開設。ともに守秘義務を徹底し、その道のプロに気軽に相談できる環境作りを行っています。
建設業の今と未来を伝える特別授業
業界の未来の担い手となる学生の皆さんに向けて、建設業の今と未来を伝える特別授業を実施。参加年齢に合わせて、分かりやすく建設業(地域貢献)の魅力や、やりがいなどをお伝えしています。今後も地域の安心安全を守る建設業の役割について、積極的に伝えていきます。
新3K(給与・休暇・希望)へのイメージ転換を目指して
老後を見据えた「iDeCo+(イデコプラス・中小事業主掛金納付制度) 」の社内運用、「禁煙手当制度」など、現在進行形で新しい制度が次々生まれています。2021年に宣言した「男性育休100%」も現在まで継続しており、今後も働きやすい・休みやすい環境作りと定着に尽力。新潟の地から、建設業に残る3K(きつい・汚い・危険)のイメージを、新3K(給与・休暇・希望)へ転換していきます。

解説

【事業を通じて人類・社会の進化・発展に貢献すると同時に、全従業員とその家族の物心両面の幸福を追求し、誇りをもって会社を後世に伝えるものとする】

これは小柳建設の創業者が掲げた経営理念です。その孫である現社長は、「大事なことは、すでにここに書かれている」と感じたそうです。そして、「この理念を現代の経営に置き換えるとどうなるのか」を徹底的に考えていきました。

「全従業員とその家族の物心両面の幸福を追求」については、残業時間の短縮、有休取得率、育休取得率の向上などがその実践に当たります。会社のキャパシティに合わせて受注量を調整したのも、その一環です。ただ、それを達成するには業務の効率化が必要で、その効率化のために、さまざまな部門でDX化を始めとする業務の改善を進めました。

「誇りをもって会社を後世に伝える」については、「この人でないとこの仕事ができない」という属人的要素をなくし、「替えの効く仕事の仕組み」を作り上げることで具現化させていきました。ここでもやはりDX化が仕組み作りに大きく貢献しています。

大事なのは、それら一つ一つが有機的につながっていることです。
属人性をなくしたから、安心して有休や育休を取ることができるようになった。業務量をコントロールし、無駄な残業を減らすことで、現場に余裕が生まれ、新人への技術の継承もできるようになった。その中核には、「社員一人一人を大切にする」という姿勢があるのだと思います。「無駄な業務で疲弊させたくない」という思いが効率化を生み、「社歴に関係なくアイデアを歓迎する」という文化がその効率化を加速させました。

「人を大切にする」という姿勢は、経営者のメッセージ以外にも、いろいろな面に表れます。

売上額だけではない、残業時間、有休取得率、育休取得率などの「数字」、社内の雰囲気、年齢に関係なく意見は出しやすいか、などの「文化」。その両面を意識すると、会社選びの視点に奥行きが出てくるのではないでしょうか。