「人を大切にする会社」って
どんな会社

小柳建設株式会社

小柳建設株式会社
企業情報

・事業内容:新潟県を中心に、全国で土木事業、建築事業、浚渫事業、舗道事業、埋蔵文化財支援事業、Holostruction事業を行う。
・創業:昭和20年(1945年)
・本社所在地:新潟県三条市東三条1丁目21番5号
・従業員:223名(2023年4月時点)
・企業ホームページ:https://n-oyanagi.com/

企業情報
Point 1
課題の「見える化」からスタートする業務の効率化
Point 2
属人性をなくすことによる、全体の底上げと休みの取りやすさ
Point 3
社歴・地位に関係なく、アイデアや意見を出し合える環境

体質が古いと言われがちな建設業界にあって、社内改革により、有休取得率や残業時間の削減、育休の取得率などで飛躍的な向上をしてきた小柳建設。「働きやすい会社」と「業績を上げる会社」を両立させてきた、その要因はどこにあるのでしょうか。「変化を楽しもう。」をモットーに掲げる会社の、その「変化」について話を伺いました。

社員の声

伊原友恵さん
入社11年目。新潟県出身。就活の時、当時採用担当だった現社長の「技術的な部分だけではなく、人間性も育てていく」という言葉に共感して入社。現在は総務部・労務管理チームのリーダーとして、社員の勤怠管理や給与管理、人事情報の管理などを行う。家庭では1歳の子どもの母親としても奮闘中。趣味はアウトドア。

労務管理のお仕事をされる中で、社員のワーク・ライフ・バランスについてはどんな取り組みをされていますか?

今、取り組んでいることの一つとして、「男性社員の育児休業100%取得」があります。育休制度はすでにあるのですが、男性社員は「育児のために休む」という意識が低く、制度があるだけで活用されていない現実があります。会社によっては、業務に支障が出るというような事情も、男性社員の育休を阻む要因としてあるのかもしれません。しかし、小柳建設では、長期休暇を取る人がいても、特段“引継ぎ”をする必要がありません。特定の人だけが担当できる業務を作らない、チーム間(社内で持っている建設現場間)での連携を図る等、業務の負担を平準化しています。

私の仕事としては、一人一人コミュニケーションを取って、育休を取るように提案しています。
最初は面談しても、「育休は取らなくていいよ」「育休を取っても自分には何もできない」という男性社員が結構います。でも、「それはちゃんとご家庭で話し合ったんですか?」と聞くと、実は話し合っておらず、奥さんに聞いたら「やっぱり育休を取ってほしい」と言われた――、ということがよくあります。結果的に「育休を取って良かった」という声もたくさん届きます。

育休制度をよく理解しておらず、「収入が途絶える」と勘違いしている社員も多くいます。実際は、雇用保険の育児休業給付で決まった金額が支払われるのですが、そういった部分の説明をすることも、育休取得の取り組みの一つです。取り組みの甲斐があって、ここ数年は100%を継続できているので、今後もこの数字をキープしていきたいです。

 

この10年で、「会社の環境が変わった」と実感しているのはどういうところですか?

一番は、「情報伝達が早くなった」ことです。私たちの部門は、個々の社員と直接やり取りすることが多いのですが、昔だったら、現場に出ている社員に電話をかけ、折り返しを待つ必要がありました。返事が返ってくるまで、こちらの業務が中断してしまいます。それが今では、社内のやり取りはTeamsのチャットを使ってできますし、外部の人とのやり取りもオンライン会議で完結します。そういった「情報環境のスピード化」が一番の変化です。

 

この会社の働きやすさは、どういうところにあると思いますか?

近年、働きやすさの指標となる「えるぼし」の三つ星認定や、「プラチナくるみん」「ユースエール」の認定をいただきました。それは、残業時間の削減や有給取得率など、目に見える数字が向上した結果なのですが、数字に表れない部分でいうと、「誰でも提案しやすい文化」が育まれたのが大きいと思います。

例えば、私が「もっとこうしたらいいんじゃないか」と考えたことに対し、同僚も一緒になって考えてくれたり、上司もそれが実現できるようにサポートしてくれたりが当然の会社になりました。そういう体制が、働きやすさや仕事のやりがいにつながっていると思います。

 

ご自身のワーク・ライフ・バランスにおいて、「会社のここがいい」という点を教えてください。

子どもが1歳なので、急に体調を崩すことも多いんです。でも、会社の看護休暇という制度のおかげで素早く対応ができて、非常に助かっています。

通常の有給休暇は、半日単位でしか使えないのですが、看護休暇は1時間単位で使うことができます。例えば、業務中に「子どもに熱が出た」という連絡をもらい帰らなければいけない時や、薬だけもらいに病院に行きたい時に、「1時間だけ遅く出勤させてください」「1時間だけ早く帰らせてください」ということができます。

1時間単位なので、業務への支障も最小限度ですみますし、同僚などにサポートしてもらう必要がある場合も、データはクラウド上に保存されていてアクセスができますし、タスクも全部共有して属人性をなくしているので、引き継ぎをする必要もほとんどありません。その点が、大変助かっています。

 

広井夢輝さん
入社5年目。新潟県出身。就職説明会で聞いた「今のままの建設業界ではダメだ。これからは最新の技術を使い、建設業界を飛躍的に伸ばしていく」という社長の言葉が決め手となり、県外の大学を卒業後、小柳建設にUターン就職。建築工事部に所属し、現在は国営越後丘陵公園の改修工事に携わっている。趣味は学生時代から続けているバスケットボール。

この会社の働きやすさは、どういうところにあると思いますか?

「この仕事はあの人じゃないとできない」という話は、建設会社だけではなく、どこの業界にもありますが、弊社はそれをなくそうとしています。マニュアル化したり、ガイドラインを作ったりして、誰もが同じ品質のものを作れるような取り組みを会社全体でやっています。そうすることで、「特定の人だけが残業をしている」とか、「有休を取りたいけれど、自分しかこの仕事はできないから、取れない」といった状態が起こらないようになっています。それが働きやすさにつながっているように思います。

この考え方は、「技術の継承」という意味でも重要です。高い技術を惜しみなく若い社員に伝えていくことで、クオリティの高いものをたくさん作ることができます。技術を伝えた側は、その分別の技術を身に付ける時間ができるので、さらに高みを目指すことができます。

 

入社してからの5年間は、会社がいろいろな変革をしてきた時期と重なります。ご自身の目から見て、その変化はどうでしたか?

自分が入社した当時は、変革の序章期でした。「若い社員は上司や先輩が帰るまで帰っちゃダメだ」という空気が若干残っている、くらいの状況でした。そこから全社的にも、部署単位でも、いろいろな取り組みを行って、今ではそういう状況はなくなりました。その効果が残業時間の短縮や、有給休暇の取得率など、目に見える成果として表れているのは、すごいことだと思います。

 

働くことについての意識は、入社してからの5年間で変わりましたか?

もともと自分は運動部だったので、「先輩が言うことに『いいえ』と言ってはいけない。必ず『はい』と言う」という文化の中で育ちました。入社してもしばらくその意識が抜けず、本当はパソコンの使い方ひとつで効率良くできるのに、上の人に言われた通り、遠回りのやり方をしていた時期がありました。「こうしたほうがいいのでは?」と言えなかったんです。

それがこの5年間で、ボトムアップというか、下からも意見を出せるような環境になりました。みんながどんどんアイデアを出して、100個のうち2個でも当たれば、それが全体の業務改善につながる、という空気に満ちています。その流れに自分も自然と影響を受けて、同じチームの先輩とも、業務に対して意見が言い合える関係になりました。

今は、「自分はこう思うんですけど、どうですか?」「経験上はこうだったけど、そのやり方も間違いじゃないよな」という感じで、意見のキャッチボールをしながら仕事をしています。経験は先輩のほうが多いのですが、「だからこうしろ」ではなく、話し合ったり、意見を取り入れてくれたりすることも、働きやすさや仕事のやりがいにつながっていると感じます。