現役大学生100人に聞きました!
地方就職に関するリアルボイス【01】
現役大学生は地方就職について実際のところ、どう考えているのだろう?
そんな疑問を胸に、大学生100人にアンケートを取り、定量的に実態を調査する一方で、街頭取材で大学生の生の声も集めてみました。
初回の質問は「地方で就職した友人・知人は、いる(YES)? いない(NO)?」。
時に豪雨となる悪天候の中、行ってきました!
調査員/高山佳乃子(東京大学・文学部4年生)
取材日/2022年7月15日
100人調査結果
Q:地方に就職した友人・知人は、いる(YES)? いない(NO)?
街頭取材で集めた、みんなの事情
いる(YES)派の声
いる(YES)派
・教師や士業として地元(大分県)に帰る人がいる/詫摩迪子さん
・地元(新潟県)の芸術祭に関連する会社に就職した先輩がいる/中島優香さん
・地元(石川県)にUターンした友達がいる。私もいつかは!/山田真帆さん
・公務員として地元(香川県)に就職予定の知り合いがいる/野中勇希さん
・京都出身の知り合いは、就職を機に地元に戻った/櫻井仁哉さん
・東京のキラキラ感が合わず地元(福岡県)で就職した知り合いがいる/平田裕子さん
・東京の大学に通い就職は大阪でした知り合いがいる/馬目蓉子さん
・地元(熊本県)で就職をした友人がいる/前田珠実さん
教師や士業として地元(大分県)に帰る人がいる
詫摩迪子さん/22歳・学部4年生
Yes/
地元(大分)の高校同期の中には、九州の大学を卒業したのちに大分に戻り高校教師になることを目指している人や、東京の大学に進学して公認会計士の資格を取ったのち、大分に帰って働く予定の人もいます。自分も地元は好きですが、今は地元に直接貢献するような仕事は考えていません。東京の本社でしかできない仕事に興味があるので。
地元(新潟県)の芸術祭に関連する会社に就職した先輩がいる
中島優香さん/21歳・学部4年生
Yes/
高校のある先輩は、地元の芸術祭に関わる仕事に就いたと聞きました。私はというと、以前から東京で働きたいと考えていました。地元(新潟)に比べて、生活する上で東京は非常に便利ですから。それに、私は社会や環境を構造から変えるような大きい仕事に携わりたいのですが、それができるのは東京だと思うからです。
地元(石川県)にUターンした友達がいる。私もいつかは!
山田真帆さん/21歳・学部4年生
Yes/
地元(石川)の友達で神戸や大阪の大学に進学した人の中には、地元に戻って就職した人たちもいます。私も、ファーストキャリアではないかもしれませんが、いつかは地元に戻って働きたいです。私は「地方出身者であるということ」をわりと強く意識しており、周りの多くの人のように、東京で大手の企業に就職して働き続けるというルートに疑問を抱いているんです。
公務員として地元(香川県)に就職予定の知り合いがいる
野中勇希さん/22歳・学部4年生
Yes/
ある香川県出身の知り合いは、東京の大学を卒業したのちに公務員として香川県で働く予定だと聞きました。私自身は地方での就職はほとんど考えていません。ずっと東京で育ってきたので、基本的には東京で働きたいです。知り合いもいない地方に行きたいとはあまり思いません。東京にいると様々な人や機会に巡り会うことができるという点も、大きなメリットだと感じています。
京都出身の知り合いは、就職を機に地元に戻った
櫻井仁哉さん/21歳・学部4年生
Yes/
京都の企業に就職した知り合いがいます。私は20代の間は大企業で働きたいです。出身は兵庫県の姫路市なのですが、地方就職するなら親族のいる地元なら良いかなと思います。地方は人が少なくていいですが、その分活気や物資の充実度で大都市に劣ることもあるでしょうし、賃金の低さや教育格差も気になります。そういった格差が解消されれば、地方就職も選択肢に入るかもしれません。
東京のキラキラ感が合わず地元(福岡県)で就職した知り合いがいる
平田裕子さん/22歳・学部4年生
Yes/
地元(福岡)の企業に就職した知り合いがいます。その人には東京のキラキラした感じが合わなかったそうです。私は地元に帰るつもりはありません。大企業の本社は都内にある場合が多いですし、テレワークが浸透した今でも月に何度かは出社する必要があると思うからです。もし地方に住むなら北海道や名古屋が良いですが、知り合いがいない土地は不安です。もし家族が近くにいれば、地方に住むことも選択肢に入るかもしれません。
東京の大学に通い就職は大阪でした知り合いがいる
馬目蓉子さん/21歳・学部4年生
Yes/
岡山出身の知り合いは、大学進学で東京に来たのち、好きなアイドルグループがきっかけで大阪の企業に就職しました。私は東京出身なので、知らない地方都市に行くのは不安です。交通の便や、近くに商業施設があるかどうかも気になりますし、田舎には会社がないイメージです。でも就活のタイミングでなくとも、私の専攻分野に関連する事業をやっている企業があれば、地方に行くきっかけになるかもしれないとは思います。
地元(熊本県)で就職をした友人がいる
前田珠実さん/22歳・学部4年生
Yes/
地元(熊本)の大学に進学した友人たちの中には、地元で就職した人たちもいます。私自身は地方での就職に興味は無くて、キャリアの最初は東京で働きたいと思っています。東京には本社が多く、自分のやりたい事ができるからです。地方にも食べ物など大都市とは違う魅力があると思いますが、私は仕事中心の生活をしたいと考えているので、地方での就職は考えていません。
いない(NO)派の声
いない(NO)派
・地方は好きだが就職先としては考えにくい/山中綾子さん
・敢えて地方企業への就職を選んだ人は周りにいない/髙橋俊哉さん
・自分の能力を発揮できる場所が地方なら躊躇はない/井分千晴さん
・東京本社企業に就職し、初任地が地方の知り合いならいる/南雲悠太郎さん
・都会の利便性を手放すのは簡単ではない/大河内拓さん
・地方就職に憧れがあるがモデルケースがいない/沖中理帆子さん
・いつか自分の力を地元(富山県)に還元したい思いはある/中島優成さん
・子育てを機に地方へという選択肢はありかもしれない/T.S.さん
地方は好きだが就職先としては考えにくい
山中綾子さん/20歳・学部3年生
No/
最近就活を始めたのですが、周りには地方就職に興味がありそうな人はあまりいない気がします。私は東京出身なのですが、私もあまり興味がありません。でも都会とは違う地方のあたたかさもすごく好きです。以前家族旅行で訪れた、自然豊かな田舎の暮らしに少し憧れを抱いています。農業をするサークルやゴルフ部に入っていて自然は好きですし、仕事漬けの生活は嫌なので、田舎で暮らすのもありかもしれないと思っています。
敢えて地方企業への就職を選んだ人は周りにいない
髙橋俊哉さん/22歳・学部4年生
No/
敢えて地方企業への就職を選んだ人は周りにいない気がします。私はこれまでずっと東京で暮らしてきたので、知らない地方の土地に入って働くイメージが持てません。就職先はやりたい事を主軸にして選んだ結果、東京の企業に決めました。地方には、行かざるを得ない状況になれば行っても良いかもしれませんが、積極的に行って暮らしたいとはあまり感じません。短期での旅行やワーケーションくらいがちょうど良いかなと感じます。
自分の能力を発揮できる場所が地方なら躊躇はない
井分千晴さん/22歳・学部4年生
No/
初任地としてたまたま北海道勤務が決まった人は知っていますが、積極的に地方を選んだ人は知りません。私の出身は岡山なのですが、ずっと東京で暮らすのは辛いです。地方都市ぐらいの規模感の生活環境が良いなと思っているのですが、全くの田舎でも困るなと思います。私は獣医を目指しているのですが、地元に貢献したいという思いはあまりありません。大学進学でせっかく東京まで来たので、自分の能力を発揮できる土地に行きたいです。
※本人の希望により後ろ姿写真
東京本社企業に就職し、初任地が地方の知り合いならいる
南雲悠太郎さん/22歳・学部4年生
No/
東京に本社がある企業に就職して、地方支店での勤務が決まった人なら知っています。私の出身は川崎ですが、ずっと東京の学校に通ってきたので、地元に対する思い入れは特にありません。地方に行くなら、リモートワークをしながらスローライフを送りたいです。東京の良いところは、人が多くて様々な価値観を持っている人に出会える点です。その偶発性が自分の成長にとって大事ですね。それに対し地方は多様性に欠けるイメージです。
都会の利便性を手放すのは簡単ではない
大河内拓さん/21歳・学部4年生
No/
私は今まで東京で育ったので、敢えて都会の便利さを手放して地方に行く理由があまり無いですし、そのイメージも湧きません。地方はのどかな場所だというイメージを持っていて、リタイア後に住むのはアリだなと思います。地方に住むと近所の人との繋がりが多そうですし、自然も豊かで良いなと思います。暮らしの場所に求めるのは、防災面の安全性や駅に近いこと、ファミリー層が多くて子育てがしやすい環境であることなどですね。
地方就職に憧れがあるがモデルケースがいない
沖中理帆子さん/23歳・学部4年生
No/
地方就職への憧れはあります。ゆっくり過ごしてみたいと思います。でも周りに地方就職のモデルケースとなる人がいません。なので地方に長期間住むのは想像できないですね。私は神奈川県出身で都会への憧れもあり、今のところ東京に本社がある企業への就職を希望しています。生活する環境に求めるのは、交通の便が良いことや、わざわざ進学のために引っ越さなくても様々な学校から選択できるという利便性の高さです。
いつか自分の力を地元(富山県)に還元したい思いはある
中島優成さん/22歳・学部4年生
No/
東京は利便性が高いですし、様々な文化に対して寛容な点が良いと思います。地元(富山)も好きでいつか自分の力を還元したいです。地方は物価が安いし、自然も豊かで人もおおらかですし。でも地方はどうしても業種や仕事内容などの選択肢が大都市に比べて少ないことが、難点のように感じます。それに地方企業の将来性を懸念する人も多いのかも。地方就職というと公務員になる人が多いように感じるのは、それゆえかもしれません。
子育てを機に地方へという選択肢はありかもしれない
T.S.さん/24歳・院1年生
No/
私は埼玉県出身で、大学進学を機に都内に住むようになったのですが、高校・大学の同期の中で地方就職したという話は聞いたことがありません。私も新卒では住み慣れた都内が良いなと思います。「都内勤務」に対する憧れもありますし。でも、いつか地方に住んでみたい気持ちもあります。子育てする環境としては、地方都市の方が良いのではないかとも思いますね。
※本人の希望によりペンネーム
<調査員まとめ>
地方&地方就職のイメージが固定化され過ぎている印象
身近に地方就職者がいてもいなくても、それはあまり変わらない
今回、直接話を聞けた学生の中には、新卒のタイミングで地方就職に興味を持っている人は、正直あまりいませんでした。
しかし、100人調査結果(アンケート)では、6割の人が「地方で就職した友人・知人はいる」と答えています。
また、タイミングが来れば、地方就職(転職)を検討したいというコメントも数多くありました。地方就職には、まだまだ多くの学生が知り得ない魅力があるのだと思います。
ではどうすれば、より多くの学生が地方就職に興味を持ち、具体的な選択肢のひとつとして検討するようになるのか。私なりに考えてみると、そのヒントは、大都市では味わえない地方の魅力を、もっと知ってもらうことにあると思います。
「働き方紹介CITY」で紹介しているような、大都市でもなく農村地区でもない、地方中核都市で暮らすイメージをより具体的に伝えることは、その突破口になり得ると思います。学生のみんなには、そういった情報に是非触れてほしいし、地方企業のみなさまには、より積極的な情報発信をお願いしたいなと思いました。(高山佳乃子)
※この記事に掲載されている情報は、2022年9月にサイトに公開した時点での情報です。