「人を大切にする会社」って
どんな会社

株式会社髙政

株式会社髙政
企業情報

・事業内容:かまぼこをはじめとした練製品、魚加工品、すり身調製品の販売・卸事業
・創業:昭和12年(1937年)
・本社所在地:宮城県牡鹿郡女川町浦宿浜字浦宿81丁目36番地
・従業員:216名(2018年9月末)
・平均年齢:37歳(2018年9月末)
・企業ホームページ: https://www.takamasa.net/

企業情報
Point 1
地域の産業を支え、復興の旗振り役となる
Point 2
自分で考え、動き、価値をつくる社員たち
Point 3
成果・目標を大事にする人材教育

2011年の東日本大震災で、甚大な被害を受けた宮城県・女川町。山奥にまで津波が到達し、建造物の7割が全壊。1万人ほどいた住民の1割が帰らぬ人となりました。類を見ない被災をしたこの地域の筆頭企業であったのが、かまぼこ製造を営む髙政。地域の産業の牽引役としてどのように事業経営を行ってきたのか、その経緯を伺いました。

写真レポート

交流のまち・女川
津波によって消失した、女川港にほど近い地区。今は海風が抜ける気持ちの良い大通りの左右にお洒落な店舗が立ち並ぶ商業エリア『シーパルピア女川』となっています。新鮮な女川の魚介や海産物に加え、カフェやクラフトビールが飲めるバー、石鹸工房、フレーバーティーのお店、ペットのグッズショップなどが並び、宮城や関東からの観光客が訪れるまちに生まれ変わりました。
「髙政さんは、女川復興の旗振り役です」
『ハマテラス』内にある髙政の直営店舗のお隣で三陸石鹸KURIYAを営む店主・厨 勝義さん。福岡県出身で、東日本大震災を機に南三陸にて復興支援に携わったのち、女川の暮らしに惹かれ2015年に移住。「女川の今があるのは、髙政さんの存在が大きいです」とお話いただきました。
震災時、かまぼこ12万食を提供
東日本大震災において、最大級の津波被害を受けた女川。食料が尽きたまちに、倉庫に残されたかまぼこ2万個と、工場のタンクに保管された100トンの水を配りました。しばらくして支援物資が到着するようになったものの、食糧事情に改善が見られない女川のために、急遽工場を再開し、10万食を製造。地域の方に温かいかまぼこをお配りすることができました。
夫婦で働いています
労働人口が3千人ほどのまちで、200人の従業員を雇用する髙政。家族で勤務する社員もいます。インタビューにも登場した井田 志穂さん、大地さんのご夫婦は自宅でも仕事の話が多いそう。「夫は商品開発プロジェクトがとても面白いようで、日々自宅で進捗を報告してくれます」。
バレンタイン商品『恋色小箱』
販売・製造など各部門からメンバーが集い、女性だけのチームを結成。バレンタイン向け歳時商品を企画化しました。商品化されたのは、甘いものが嫌いな男性向けに、バジルとベーコンの入ったハート型のかまぼこ。お酒のつまみにもなるとお客さまに好評で、ホワイトデーでも再販を行いました。
下北沢『イカ祭り』で女川の味を発信
東京都世田谷区らと共同開催で開催された女川フェア・イカ祭り。芸術のまち下北沢にて、芸人やミュージシャンのステージとともに女川の食を味わえるイベントになりました。子ども向けブースも開かれ、多くのファミリーが来場しています。
JFL入会を果たしたサッカーチーム・コバルトーレ女川
2006年に創設された、女川をホームとするサッカーチーム。選手は髙政での仕事と練習を日々両立しています。震災時には、選手達自ら髙政のかまぼこを多くの避難所に配布。2018年よりアマチュアリーグの最高峰であるJFL入会を達成し、女川に夢と元気を与えています。

解説

地域には、そのエリアならではの産業が存在します。天候や地形を活かした農作物・水産物などの特産物や、その加工といった一次産業・二次産業がその代表的な例と言えるでしょう。これら多くの会社は、地域の歴史や文化を背負いながら、それを多くの人に広めるための活動を行っています。

 

髙政は、もともと女川の魚を活かした練り物商品で、地域の有名企業として親しまれていた会社です。震災を機に、その思いやプライドは強まり、復興のエンジンとして地域の食糧事情の改善や、経済の立て直し、未来へ向けたまちづくりといった多様な取り組みを行うようになりました。危機的状況に瀕した時に、このように一致団結し、社員ひとりひとりが前を向けるのが本当に強い会社と言えるのではないでしょうか。社員が地域を愛し、その思いを胸に自主的に動ける企業を、各地域でぜひ探してみてください。