インタビュー

コロナに負けるな!LO活サポーターからのエール

新型コロナウイルスの影響で、就職・転職活動を取り巻く環境は大きく変化しています。外出自粛やリモートワークの推奨など、従来とは違った働き方を推奨する企業が増えました。採用活動の形式が昨年と異なったり、業界によっては業績が悪化する企業も出てきています。数カ月前には思いもよらなかった状況の中で、学生・社会人ともに不安に過ごしている人も多いのではないでしょうか。そんな皆さんに、以前スペシャルインタビューに登場いただいた3人の識者からエールをいただきました。

 

~~~MENU~~~
・『就職氷河期を20年前に経験した私が伝えたいこと』 michinaru株式会社 菊池龍之氏
・『6500万年前の巨大隕石の衝突後、なぜ哺乳類の祖先が一躍進化し繁栄したのか?』 ネイティブ株式会社 倉重宜弘氏
・『新型コロナウイルスで変わる働き方と変わらない幸福感』京都女子大学 橘木俊詔氏
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『就職氷河期を20年前に経験した私が伝えたいこと』

<center>michinaru株式会社 代表取締役 菊池龍之氏</center><p> </p>

michinaru株式会社 代表取締役 菊池龍之氏

 

100年に一度の災厄といわれているコロナウイルスにより私たちの生活は一変しました。これから社会に出ようとする皆さんも不安を募らせていることと思います。かくいう私も平成の大不況と言われた時期に就職活動を行い、厳しい現実を突きつけられた経験をしました。こうした経験から学んだことや、多くの企業の採用現場を指導してきた私が、今皆さんにお伝えできることをまとめてみました。

●やりたい仕事から、ありたい姿を考える
自分がやりたい仕事がしたい、と考えるのは当たり前のことですが、これに固執するのはちょっと危険です。これからの豊かな社会人人生の視野を狭くすることがあります。「キャビンアテンダントになりたい」とか「編集の仕事がしたい」などから、もう一歩踏み込んで考えてみましょう。その仕事を通じて「どんな自分でありたいか」「どんなキャリアを歩んでいたいか」を描いてほしいのです。こうした「ありたい姿」を描くことは自分の視座を一段上げてくれます。「編集の仕事」だけでなく、別の仕事でも「ありたい姿」に近づくことができると分かるでしょう。今こだわっている「やりたい仕事」の呪縛を解くことにつながり、自分が輝ける場所の選択肢を広げることにつながります。

●よい就職ができたかどうかはいつ分かる?
書籍で見かける「就職活動に成功した先輩たちの声」を読むと少し違和感を感じます。第一志望に合格できたことは、嬉しいことかもしれませんが、その就職が成功だったかどうかが分かるのはずっと先です。「安定してそうだ」と選んだ会社に入社したら、人間関係に悩まされ早期離職した、なんて話も聞きます。就職先に正解も不正解も、成功も失敗もありません。すべては入社してから自分で正解にしていけるかどうかです。そのためには、「自分はその場所で輝けそうか」と想像をしながら、会社の説明を読んだり、聞いてみてください。

●就職はお互いが幸せになれるか
先の見えない世の中で、どんな業界やどんな会社に就職するのが良いかアドバイスすることは難しいのですが、就職を結婚に例えて考えても良いかもしれません。お互いに幸せになることが結婚の目指すべきゴールだとすると、どんな条件でどんな環境で私を受け入れてくれるの?といった相手への要求だけではいけません。その会社をどうやって幸せにするか、つまりどう貢献するかもセットで考えなくては。その際、条件ばかりで相手を探すのではなく、感情が動くかも大切にしてください。「理由は分からないけどなぜか惹かれた。」「相性が良さそう。」こういった一見非合理な決め方でも幸せな社会人生活を送れている人は多くいます。そして、私を待っている会社は必ずあると信じて、行動し続けてください。

 

~~~ 菊池龍之 michinaru株式会社 代表取締役 ~~~

1976年滋賀県に生まれ。同志社大学卒業後、人材採用コンサルティング会社へ就職。複数の事業立ち上げを経験後、2011年株式会社コヨーテを設立。独自の採用メソッドを開発し2000社を超える企業に伝える。また新規事業創造プロジェクト「Hatch!」をプロデュース。 次の10年のチャレンジとして、2020年「変化を起こす挑戦者を創る」をミッションにmichinaru株式会社を設立。

●過去のスペシャルインタビュー
https://local-syukatsu.mhlw.go.jp/interview/20181115/

『6500万年前の巨大隕石の衝突後、なぜ哺乳類の祖先が一躍進化し繁栄したのか?』

<center>ネイティブ株式会社 代表取締役 倉重宜弘氏</center><p> </p>

ネイティブ株式会社 代表取締役 倉重宜弘氏

 

約6,500万年前、地球に突如巨大な隕石が落下し、それまで大繁栄していた恐竜が瞬く間に絶滅したという話は、皆さんもどこかで聞いたことがあると思います。そのころまで日陰の存在だった私たち哺乳類の祖先は、その大変化を契機に多種多様な進化を遂げ、大繁栄し、その末に私たちがこうして生きているのだそうです。

 

それはどうしてなのでしょうか? 諸説あるのでしょうが、近年研究が進み、ある程度その理由が分かってきたそうです。

 

それは一言で言えば「タイミング」が非常に大きいということでした。
つまりそれが起こったまさにその時、私たちの祖先は、まるでネズミのような形をした小さな生き物で、いわば「何者でもなかった」からだというのです。専門用語で「特殊化」というそうですが、「特別な環境に適した進化」を成し遂げていない平凡で未進化な存在だったからこそ、その後いくらでも進化できる余地を残していたというのです。

 

これは決して「私が」言っているわけでは、もちろんありません。
ちょうど10年前の2010年に放送されたNHKスペシャル「恐竜絶滅 ほ乳類の戦い」という番組でその説が紹介され、自分はそれを見て強い衝撃を受けいまだに記憶していたのです。このことは同番組の「後編 運命の逆転劇」で語られています。(興味のある方は、前編と一緒にNHKオンデマンドで見てみて下さい。)

その番組でさらに興味深かったのが「ワニ」との比較です。ワニは恐竜全盛の時代から、姿形は今とほとんど同じ。その大激変を乗り越え生き残っているのですが、やはり細々と(?)水辺で生きているレベルです。それは大変化のタイミングで一定以上に「特殊化」を終えていて、さらにそこから変化するのが難しかったからだそうです。

 

新型コロナウイルスによって今まさに起こっている大きな社会変化は、巨大隕石よりはましでしょうが、間違いなく私たちの人生で最も大きな衝撃の一つになるでしょう。そしてそれが起こったタイミングで、皆さんがもしまだ「未進化」だとしたら、これ以上なく幸運だと言えるのではないでしょうか?

あまり大きな声では言えませんが、私を含め世の中の一定以上の年配の人たちは、そのほとんどが「恐竜」。悲しいですがほとんどが「絶滅」を免れないと思います。よくて「ワニ」です。しかし皆さんはこれから何にでも進化できる「哺乳類」です。この幸運をどう進化に結びつけるかは、まさにあなた次第です。ぜひこのことをすべての起点にして考えてみてください。世の中が全く違って見えると思います。

 

私?私も当然このまま絶滅するつもりはありません(笑)。そもそも私の会社も自慢でないですが「特殊化」前。これからが進化の本番です。実は、恐竜の一部はその後「鳥」として進化し「空」で大繁栄しています。私達もその「鳥」のように、今まで目指す人が少なかった「地方」という場所をめざし、大きく羽ばたきたいと思っています。

 

~~~ 倉重宜弘 ネイティブ株式会社 代表取締役 ~~~

金融系シンクタンクを経て、2000年よりデジタルマーケティング専門のベンチャーに創業期から参画。大手企業のネット戦略、Webプロデュースなどに数多く携わる。2012年に北海道の地域観光メディアを立ち上げたのをきっかけに、2013年「沖縄CLIP」、2014年「瀬戸内Finder」を手掛る。 2016年3月、地域マーケティング専門企業「ネイティブ株式会社」を起業し独立。

●過去のスペシャルインタビュー
https://local-syukatsu.mhlw.go.jp/interview/20180223/

『新型コロナウイルスで変わる働き方と変わらない幸福感』

<center>京都女子大学客員教授 橘木俊詔氏</center><p> </p>

京都女子大学客員教授 橘木俊詔氏

 

「東京で働くのがしんどい」という連絡が、私の元に届きました。東京で働く教え子からです。他の教え子からも、東京の企業に一生居続けるのが良いことか悩んでいると連絡がありました。
東京で満員電車に揺られながら、いつ新型コロナウイルスに感染するかもわからないと日々考えているとするならば、東京に住み続けることの是非が頭に浮かぶことは想像に難くありません。

 

新型コロナウイルスの流行は、人間に対して多くの問いを提示した出来事であったと考えています。どこでどんな生活を送るのか、どんな仕事をするのか。すでに現時点でも、住む場所や暮らし方、働き方に変化があった人は少なくありません。

 

この変化は日本特有の現象ではありません。新型コロナウイルスの流行で、東京が危ないと思われた方は多くいますが、世界各国でも同じ傾向が見られます。アメリカでは、ニューヨークから人々が脱出する動きがあるそうです。イギリスのロンドン、フランスのパリなど、首都に経済が集中している国でも、同様の事態が起きています。

 

仕事をする人々の間では、リモートワークが随分と浸透しました。デスクワークは家で、会議はオンライン会議ツールを使用して行えると多くの人が認識しました。
これがさらに進行すると、例えば東京の企業に勤めながら周辺の県に引っ越し、仕事はオンラインでやりつつ、週に1回のペースで東京に行くような働き方も選択肢に挙がってきます。

 

若年層の方々は、オンラインで仕事を遂行する技術を身につけ、各種ツールに素早く適応することで、仕事の上でも暮らしを考える上でも有利に働きます。

 

「どういう職業に就くか」という問いは、このコロナ期に人間に提示された問いの中でも重要なものです。
ここまで述べてきた新型コロナウイルスの影響による暮らし方、働き方の変化は、一部のホワイトカラー従事者における論点に過ぎません。医療現場で働く医者やスタッフ、ホテルや飲食店の従業員、現場で働く生産者や輸送を担う労働者の方々は、新型コロナウイルスの流行によって働く場所を変えることができません。このことを、私たちはよく考える必要があります。

 

しかしながら、私たちの根底にある幸福感は、たとえ暮らし方、働き方に変化があっても、大きな変化が起こらないと思っています。
コロナウイルス流行の有無によらず、誰しも病気のリスクを常に抱えているものです。この数カ月の影響で、人々の幸福感そのものが変わってしまうことにはならないと、私は思います。
これは、コロナウイルスを恐れるな、という意味ではありません。リスクを避ける行動は当然取るべきですが、リスクを避けることばかりに気を取られて、それが人生の目的になってしまっては本末転倒です。

 

自分がどうなりたいのか、あるべき姿は何か。自らが目指すべき目標を持ち、そこにチャレンジしていくことが、幸福への近道ではないでしょうか。
結局、自分の好きなことをやれる人生が一番良い人生です。コロナばかりを恐れていても仕方がないですから。

 

~~~ 橘木俊詔 ~~~

1943年生まれ。アメリカのジョンズ・ホプキンス大学大学院修了(Ph.D.) その後、仏、英、米、独で研究職・教育職を経験。京都大学、同志社大学の教授を経て、現在京都女子大学客員教授。元日本経済学会会長。専攻は労働経済学。主著は「格差社会」「日本の教育格差」「新しい幸福論」「日本人と経済」「女子の選択」など。

●過去のスペシャルインタビュー
https://local-syukatsu.mhlw.go.jp/interview/20171222/

おわりに

日々変化する状況の中で、挑戦を続ける皆さんが、この記事から新たな視点を得たり、前向きになれたりすれば幸いです。また、LO活ではセミナー・イベントや個別相談など、様々なサービスで皆さんの地方就職を応援します。ぜひ活用してください。