離島移住のための就活ガイド【2】 ~動いてみる編~
離島企業に就職するために
近年、地方移住の中でも「離島移住」が注目されています。
(なぜ離島移住が注目されているのか?については、「離島移住のための就活ガイド【1】 ~考えてみる編~」をご覧ください)
ただ、離島移住に当たっては、「どうやって仕事を探すか」という課題が出てきます。
そこで今回は、「離島での仕事の探し方」についてご紹介します。
離島での仕事の種類
まずは、離島にどのような仕事があるのかを掘り下げてみましょう。
国土交通省の資料「離島振興計画フォローアップ(令和3年)」に掲載されたデータによると、離島産業は農業・林業・漁業などの1次産業の割合が20.4%あり、全国の4.0%と比較して非常に高いことが分かります。
一方で、63.4%が第3次産業で、様々な種類の仕事が存在していることも見えてきます。
ただ漠然と「第3次産業」と言われても、イメージが湧かないのではないかと思います。
具体的な業種や職種をリストアップしてみましょう。
【観光・サービス業】
離島の中には、観光が盛んな島もたくさんあります。
ホテルや旅館などの宿泊施設や飲食業の他に、レンタカーやレンタサイクル、ダイビングショップなど、その島のレジャーに応じたサービス業なども離島を支える仕事のひとつです。
【医療・福祉関係】
医者、薬剤師、看護師といった医療関係者や、保育や介護といった福祉関係の人材は、島での生活にも欠かせません。生活インフラを支えるこれらの仕事は、離島でも常に求人が多い仕事です。
【販売業・運送業】
離島にも、食品や衣類など生活必需品を販売している店舗が必ずあります。そこでは販売員が必要です。また、離島内で荷物を運搬する運送・配送業も重要な仕事です。
【市役所職員や地方創生に関わる仕事】
地方創生の機運が高まる中、行政職の募集もコンスタントに見られます。
特に、島をPRするマーケティングなどの知識は、都会の企業でスキルを身に付けるケースも多いため、民間経験者(社会人)枠で専門職の求人が行われる場合があります。地域おこし協力隊のような制度を活用した人材登用に積極的な自治体(島)も増えています。
【自動車・建築などの修理関連事業】
離島での移動手段は、多くの場合、自動車になります。
そのため、ガソリンスタンドはもちろん、自動車修理などの業種も必要不可欠です。また、台風などの自然災害で住宅が被害を受ける場合も本土に比べると多く、電気工事や住宅の修繕に関わる技術を持っている人も必要です。
第1次産業×第2次産業×第3次産業⇒6次産業化
近年は、第1次産業と第2次産業、そして第3次産業を一体化させてサービスとして提供する「6次産業化」が注目されています。
例えば、第1次産業で収穫された牛乳を第2次産業の製造業でジェラート、プリン、チーズなどに商品化して自前で販売する(第3次産業)というものです。「6次産業化」は今後、離島においてますます重要になると考えられます。インターネット・SNSを活用して、商品を販売・PRできるスキルなど、「6次産業化」を助ける人員は、離島でのニーズが高い仕事だと言えるでしょう。
このように、離島にも様々な仕事があります。
では続いて、「どうやってそのような求人と出会うのか」についてご紹介します。
離島求人の探し方
離島の企業は、都市部に比べると規模が大きくないことが多く、採用予算も限られている場合があります。そのため、都市部での転職のように、人材会社経由で出会える求人数は多くありません。そこで活用したいのが、「ハローワーク」です。
【ハローワーク】
「ハローワーク」は、求人掲載に費用がかからないため、離島企業も活用しやすく、インターネット上で簡単に検索もできるので、全国どこからでも希望の求人に出会える可能性があります。
では実際に、近年移住者が増えている長崎県五島列島(五島市)の求人を確認してみましょう。下記は、実際の検索結果画面を編集したものです。
スーパーマーケットの職員、テレビの番組制作スタッフ、配送スタッフ、営業職と、多様な職種の求人が出ています。(例:化粧品営業(幹部候補)350,000~500,000円(手当含む)など ※詳細は以下画像参照))
五島市移住定住促進サイトの情報によると、ハローワーク五島管内における有効求人倍率は1.38倍で、特に医療・介護・福祉(保育含む)分野が不足していると伝えています。月間の有効求人数は948(フルタイム510、パートタイム438)となっており、移住者の受け入れが盛んな離島は、求人も豊富にあるようです(令和5年2月時点)。
もうひとつ、観光地として人気の「沖縄県石垣島」の求人も同様の方法で検索してみると、729件の求人がヒットしました。飲食店の店員や空港職員、介護職や建築会社など、こちらも多様な業職種の求人が確認できました(令和5年7月時点)。
【各島の自治体や移住相談窓口を活用する】
地域や生活に関する情報を取得する際に、自治体の移住相談窓口を活用するという方法もあります。
例えば上記サイトは、愛媛県今治市の移住・定住・交流ポータルサイトです。
今治市には、本州と四国が橋でつながったしまなみ海道があります。広島県尾道市までの各島が橋続きになったことで、サイクリストを中心に人気を集めている地域です。新しいゲストハウスや古民家をリノベーションしたカフェがオープンするなど、移住者も活躍する人気の観光地として注目されています。
このように、積極的に移住者を受け入れている地域は、移住者向けの情報提供を拡充しているので、問い合わせフォームや電話などで連絡してみましょう。
なお、「離島移住のための就活ガイド① ~考えてみる編~」で取材した、公益財団法人 日本離島センターのサイトでも全国の離島に特化した求人情報を掲載しているので、ぜひチェックしてみてください。
移住相談窓口へ相談してみよう
ここまで読んできて、実際に離島就職・離島移住に魅力を感じた方は、次の一歩として島の「移住相談窓口」などへ相談してみることをおすすめします。
移住相談窓口では、仕事や住宅などがありそうか、どのような人たちがどのような暮らしをしているか、暮らしの中心となるお店や病院はどのような感じかなど、詳しく教えてくれます。気になる島の移住相談窓口を探して、連絡してみてください。
また、まずはどんな島があるのかを調べたいという人や、いきなり離島の移住相談窓口に相談するには「情報不足で不安」という人は、「移住・交流情報ガーデン(東京駅八重洲口近く)」を活用してみてください。
「移住・交流情報ガーデン」では、離島に限らず日本全国への移住に関する相談が無料でできます。日本各地の移住に関するパンフレットが揃っており、知識豊富な相談員が地域の様子や仕事・生活環境などの情報を教えてくれます。
LO活では、これまでに離島へ移住した方への取材記事を掲載しています。
ぜひ、こちらもご覧いただき、離島移住の参考にしてください。
また、以下の記事では「離島移住の魅力」についてご紹介しています。併せてご覧ください。
※この記事に掲載されている情報は、2023年10月にサイトに公開した時点での情報です。