地方で生きる

離島で働く 佐渡島編 Vol.1

4年の社会人経験を積み、佐渡島に孫ターン

離島に移住。響きはとても良いけど、本当に暮らしていけるの?そう思う人もいるのではないでしょうか。島出身でUターンを希望している人、島暮らしに憧れて移住したいと考えている人。島に移住したら仕事はあるのか、どんな生活が待っているのか、島での仕事と生活についてインタビューしました。

尾畑酒造株式会社 営業部
備家悠一郎さん
埼玉県育ち。大学卒業後は神戸に本社を持つ物流会社で4年勤める。父親の出身が佐渡島で幼少期、島によく訪れていたこともあり、物流会社を退職後、佐渡島への移住を決意。尾畑酒造株式会社に入社し、島内で営業や、島外で販路拡大の営業を行なっている。

 

佐渡島ってどんな島?

新潟県佐渡島は、新潟港から船で最短1時間で到着する島です。人口は56,000人(平成30年3月末)。島の形がS字型の日本海側最大の島で、東京23区の1.4倍の大きさです。島の北部・南部にはそれぞれ山が広がり、人が一番多く住む中央部には、平野が続いています。冬は雪国のイメージがある新潟県ですが、佐渡島はこの地形の影響もあり、本土に比べ積雪は少ない場所です。<br />
自然豊かな佐渡島では、海の幸も山の幸もとても豊か。海では、カニ・ブリ・アワビ・サザエ・海藻類などが採れ、山では多種類のキノコや果物、そして清らかな水を使って作られる米など、食がとにかく豊富です。また、佐渡島は国際保護鳥に指定されているトキがいることでも有名です。<br />
新潟県佐渡島は、新潟港から船で最短1時間で到着する島です。人口は56,000人(平成30年3月末)。島の形がS字型の日本海側最大の島で、東京23区の1.4倍の大きさです。島の北部・南部にはそれぞれ山が広がり、人が一番多く住む中央部には、平野が続いています。冬は雪国のイメージがある新潟県ですが、佐渡島はこの地形の影響もあり、本土に比べ積雪は少ない場所です。
自然豊かな佐渡島では、海の幸も山の幸もとても豊か。海では、カニ・ブリ・アワビ・サザエ・海藻類などが採れ、山では多種類のキノコや果物、そして清らかな水を使って作られる米など、食がとにかく豊富です。また、佐渡島は国際保護鳥に指定されているトキがいることでも有名です。

ー佐渡島ではどんな仕事をしているの?

尾畑酒造株式会社という会社で、営業をしています。
尾畑酒造は創業が明治25年。真野鶴というブランドを中心に日本酒を製造している会社です。

私は主に、島内の取引先へ新しい商品の営業や商品の配達、また新しい取引先の開拓を行なっています。さらに関東出身ということもあり、関東を中心に百貨店などのイベントに参加したり、営業したりします。国外需要も増えてきているので、取引先が幅広くなってきていて面白いですね。バイヤーやビジネスパートナーが、酒蔵を見に来島してくれるので、酒蔵や佐渡島の案内なども行なっています。

ー佐渡島を選んだきっかけは?

佐渡島にはもともと縁がありました。父親が佐渡島出身で、祖父母がずっと島に暮らしていたので、子どもの頃はゴールデンウィークやお盆に家族で帰省していました。

私が大学受験の頃、祖母が亡くなり祖父が一人に。進学先も決まり、父が私に祖父孝行をしに行ってこいと言ってくれたのですが、当時は絶賛反抗期中。素直に受け入れられず、行かずじまいでした。そうこうしているうちに大学入学式の前日、祖父がいる家が燃えていると連絡が来たのです。家は全焼、祖父はその火事が引き金で数日後に他界。あのとき行っておけばよかったと後悔し、それからずっと佐渡島が心に残っていました。

大学4年生の就活時も、佐渡市役所などを受けましたが、ある人に「せっかく大学を出たのにすぐ佐渡に行くのはもったいない。ある程度大きな企業に入り、社会経験を積んでからの方が、君にとってもいいのでは」とアドバイスを頂きました。それがきっかけで、3年は大きな会社で働こうと思い、物流会社へ就職。その会社に勤め3年が過ぎた頃、やはり佐渡島に行きたいという気持ちがあったため、移住を決意しました。

ーどうやって仕事を見つけたの?

佐渡島での仕事探しは、ハローワークに掲載されている案件を、片っ端に見ることから始めました。また、父の親戚が佐渡市役所で働いていたこともあり、仕事探しを手伝うと言ってくれたのも、とても心強かったです。結果1年かかりましたが、尾畑酒造の社長と縁があり、就職が決まりました。尾畑酒造は海外での売り上げを伸ばしていたり、廃校を仕込蔵に再生した「学校蔵」というプロジェクトを行なっていたり、取り組みが面白い。興味が持てる仕事につけて、とてもよかったと思います。

ープライベートはどう過ごしているの?

仕事が休みの時は、もともと器械体操を12年間やっていたこともあり、幼稚園児から小学生ぐらいまでが所属している体操クラブで体操を教えています。また最近では、親世代で昔体操をやっていた人を集めて、大人の体操教室も開いています。

春と夏は地元のお祭りに参加します。佐渡島では鬼太鼓という祭りが地域ごとにあり、その年の五穀豊穣や大漁、家内安全を祈りながら家々の厄を払うのですが、その鬼役をやらせて頂きました。

佐渡島はアクティビティも豊富。ナイトシーカヤックでウミホタルを見に行き、海から満天の星空を眺めたり、トキマラソンというフルマラソンにも参加しました。その他、オープンウォーター、自転車のロングライド、トライアスロンなど、色んなスポーツが盛んです。

ー実際に移住した感想は?

移住したことで、佐渡島の文化に触れられたことがよかったです。例えば、鬼太鼓の鬼をやれたこと。鬼をやることは名誉なことなので、とても嬉しかったです。私の祖父もその昔鬼太鼓をやったことがあるようで、孫の私がやることは良いことだと島の人が言ってくれました。今になってようやく祖父母孝行ができた気がしています。また、昔は楽しさよりも辛い思いが先行していた体操ですが、佐渡島で体操を教えることで、楽しさに改めて気付くことができたのはよかったです。

もちろん良いことばかりではありません。雪は基本あまり降らないと言われていますが、昨年は多く降りとても寒かったのを覚えています。また、魚は安いですが野菜やガソリンは都会に比べて高い。車がないと移動が不便。そして都会よりも基本給が低いです。

ー今後の目標は?

仕事での目標は、酒・真野鶴をより広めること。島内でも販路をより広げていきたいですし、海外営業にもどんどんチャレンジしたい。

プライベートでは、アクティビティができる複合施設を廃校に作れないかと考えています。今、佐渡島は夏のマリンスポーツは充実していますが、冬や天候が悪い日に弱い。そんな時に体操、トランポリン、スラックラインやパルクールなど室内の遊びができるテーマパークがあれば良いなと思っています。

ー離島移住したい人に、佐渡島はおすすめですか?

佐渡島は移住者に対してとてもウェルカム、比較的移住しやすい場所です。ダメだったら帰るくらいの気さくな気持ちで、とにかく一歩踏み出すことが大事だと思います。ただ、理想の仕事を探そうとするとやはり時間はかかると思うので、常にハローワークの求人をチェックすることが必要。家を見つけるのも意外と難しいので、不動産や市がやっている空き家バンクを常にチェックしてください。

簡単なことだけではありませんが、佐渡島には割となんでも揃っているので、離島だと力まなくても移住できる島だと思います!