若い人たちに届けたい「地方の魅力」【岡山県編】
いま、20代は岡山県に注目している!
みなさんは就職活動をする際、どんな条件で企業を探しますか?
仕事を選ぶことは、暮らす場所を選ぶことでもあります。
ところが、その視点は、特に首都圏在住の学生さんほど抜けがちです。
「仕事」と「暮らし」をセットで考えた場合、盲目的に首都圏企業に絞り込むのはもったいない!
地方にも目を向けることで、就活の選択肢はさらに広がります。
まずは下図をご覧ください。
図では、生まれ故郷の出生数と25歳時点居住地の増減率を表しています。つまり、この図でプラスの都道府県は、生まれた人の数よりも25歳時に住んでいる人の数が多いということ。東京は、大幅なプラスになっています。逆にマイナスが大きい道県は、若者の流出数が多いことになります。図によると、岡山県は3大都市圏ではないにも関わらず、プラスになっていることが分かります。
若い人たちがなぜ岡山県に惹き付けられるのか?
その魅力を、3組のお話を通じて紐解いていきたいと思います。
一度は東京に出たものの、Uターンして岡山市奉還町で活躍する北島さん
最初にお話を伺ったのは、大学時代まで生まれ故郷の岡山で過ごし、その後東京のIT企業で働いていた北島琢也さん。29歳のとき「自分で何かをやってみたい」という思いから、岡山へのUターンを決意。岡山市奉還町で服屋を開業、その後も事業を広げ、今ではホステル運営やイベント企画なども行っています。
北島さんがUターンしてから約15年。この場所で暮らし、家庭を築いたことで、次第に地域のことにも関心を持つようになりました。
「最初は東京で何かを始めるよりも、地元の方が人脈もあるし、コストも抑えられると考え、Uターンを決めました。岡山駅の東口は都市開発が進んでいますが、奉還町がある西口側は、古い自転車屋やお饅頭屋、包丁研ぎ屋が残るエリア。地元に根付いた商店街の人たちに、うちの子供たちもよくしてもらっていて、下町で生活する憧れが叶ったような気がしています」
仕事を通じて多くのつながりを築いてきた北島さんのもとには、地域の人たちから「こんなイベントをやってみたい」「こんな人を探している」といった相談やアイデアが自然と集まるようになります。次第に、やりたいことを持つ人同士をつなぐパイプ役を担うようになりました。そんな北島さんに、若者を惹きつける岡山の魅力を聞いてみました。
「手つかずの場所がたくさん残っているところです。新しいことを始めるときは、周りとなるべく競合しないことが大切。岡山は首都圏に比べて競合が少なくコストも抑えられるので、アイデアを形にしやすい場所だと思います。僕が奉還町で始めたKAMP(キャンプ)という会社も、かつてシャッター街だった場所をうまく活かして生まれたものです」
実際に奉還町の商店街を歩いていると、歴史を感じさせる古い商店の隣に、新しいバーやカフェが並んでいて、空き家をうまく活用したお店をたくさん見かけました。
北島 琢也(きたじま たくや)さん
1980年兵庫県で生まれ、岡山県赤磐(あかいわ)で育つ。大学卒業後東京で就職するも、岡山へUターン。岡山県奉還町にて株式会社KAMPを立ち上げた。現在はホステル運営、イベント企画、WEB3.0事業など、新しいカルチャーとプロモーション、地域創生を掛け合わせた事業を手がけている。
岡山の魅力にハマり、岡山でやりたいことを叶えた寺本さんご夫妻
次にお話を伺ったのは、岡山県玉野市で雑貨屋と植物屋を営む、寺本研太さん、海紗陽さんご夫婦。ふたりとも、県外で生まれながら、就職や転職をきっかけに岡山で暮らすことになりました。現在、ふたりが暮らす玉野市は、岡山県の南端に位置し、瀬戸内海に面した港町。市内から電車で40分ほどの距離で、喧騒から離れた落ち着いた場所です。
兵庫県で生まれ育った海紗陽さんが岡山と縁を持ったきっかけは、専門学校を卒業した後、新卒で岡山県に本社があるデニム関連の企業に就職したこと。その後、カフェへの転職を機に玉野市へ移住しました。
海紗陽さん:「この場所は瀬戸内海を眺めながら暮らすことができ、そこが大きな魅力だと感じます。地元・神戸と比べて人が少なく、忙しい感じがしないので、心にゆとりが生まれました」
一方、大阪府出身の研太さんは、東京で働いた後、25歳の頃、転職を機に倉敷市へ移住。30歳のときに、玉野市で植物屋を始めました。
研太さん:「僕は東京で人材派遣の仕事をした後、ファッション業界に興味があり、岡山県倉敷市にあるジーンズ加工会社に転職しました。この仕事を通じて妻と出会い、30歳を迎えたときに『自分で何かをやってみたい』という思いが芽生え、現在のお店をスタートさせました」
岡山での現在の暮らし方も、まもなく10年。お店を営みながら、近くに住む友人と食事を楽しんだり、釣りに出かけたり、マイペースな暮らしを楽しんでいます。
海紗陽さん:「朝は愛犬のファンタと海沿いを散歩し、余裕があればコーヒースタンドで朝食をとります。店が終わると、夫がファンタの散歩をし、私は夕食の支度。スーパーでは、新鮮で安い野菜や果物が手に入ります」
近所には移住者も多く、自然に交わされる日々の会話を通じて、つながりが生まれ、次第に知り合いが増えていくのだとか。
研太さん:「岡山の人たちは、挨拶はするけれど干渉し過ぎない人が多く、距離感が心地いいんです。暮らし方などの地域差が大きいので、まずは岡山市や倉敷市などの中心部で暮らしてみて、実際に足を運びながら、自分に合う地域を見つけるのもおすすめですよ」
寺本 研太(てらもと けんた)さん
1990年、大阪府生まれ。大学まで大阪で育ち、卒業後は東京へ。埼玉、大阪への転勤を経て、岡山へ移住。30歳で独立。現在は【植物とモノと服の店】「atelier CONTON(アトリエコントン)」と「SUPER CONTON MARKET(スーパーコントンマーケット)」を夫婦で経営している。
寺本 海紗陽(てらもと あさひ)さん
1993年、兵庫県生まれ。服飾関係の専門学校を卒業後、新卒で岡山県のアパレル系OEMメーカーに就職。カフェへの転職を機に玉野市へ移住。現在はロゴデザインや陶芸にも取り組んでいる。
岡山の魅力を伝え、東京から岡山へ送り出す丸谷さん
最後にお話を伺ったのは、東京・有楽町にある「NPO法人ふるさと回帰支援センター」で、おかやま晴れの国ぐらし IJUアドバイザーをしている丸谷さん。首都圏に住む人たちに岡山県の「住む・暮らす・働く」などの情報提供をし、移住への後押しをしています。
「私は現在、移住アドバイザーとして、岡山県に興味をお持ちの方々の相談に乗っています。岡山は『晴れの国暮らし』と呼ばれるほど、年間を通じて晴れの日が多く、気候は温暖で地震が少なく、交通アクセスが便利なところも魅力です。最近では、新卒の就職先として岡山を検討する大学生が相談に来られることもあり、若い方にも注目されている実感があります」
とはいえ、縁もゆかりもない地域とつながるのは、少しハードルが高いかもしれません。どのようにして自分に合った場所を見つけていけばいいのでしょうか。
「相談では、好きなことや興味をヒントに、その人に合った地域を私からご紹介しています。たとえば、『カフェが好き』といったシンプルなことでも大丈夫。岡山は、農業が盛んな地域で自然も豊か、アパレルや繊維業も発展しています。最近では国際色豊かな芸術祭が開催されたり、岡山のサッカーチームがJ1に昇格したりと、地域の盛り上がりも感じられます。大きな街も山も海もあり、選択肢が本当に豊富。誰でも自分にぴったりの場所を見つけられると思います」
そんな丸谷さんが、岡山県とのつながりを作るきっかけに、ぜひおすすめしたいという制度が「お試し移住」。
「ホテルではなく、町中や田舎の住宅に宿泊し、住民目線で地域と関わることができます。近くの海を散歩したり、商店に買い物に出かけたりすることで、暮らし心地を味わえます。実は私もこの制度を利用したことがあり、岡山のことがより好きになりました」
ほかにも、農業体験やオーダーメイド型の市内ツアーなど、移住前に岡山を深く知るための制度が充実しています。さらに、岡山で就職活動を考えている人には、交通費の半額補助制度など、経済的な支援が受けられる場合もあります。興味のある方は、ぜひ窓口で相談してみてください。
丸谷 眞由美(まるたに まゆみ)さん
東京都生まれ、東京育ち。
ハローワークでの職業相談、事務を経て、2024年からふるさと回帰支援センターで岡山県へのIJUアドバイザーとして活躍中。
やりたいことを見つけて叶える、岡山県
それぞれの視点から見た岡山の魅力。
農業やアート、ファッション、サブカルチャーなど、たくさんの魅力的な要素が集まり、それでいて、やりたいことを実現するための余白がたくさん残っている場所だということが分かりました。何かを始めたいと思っている人も、すでにやりたいことがある人も、岡山はぴったりの場所なのかもしれません。
■もっと知りたい方へ
岡山県の魅力は、こちらの記事でも紹介しています。ぜひご覧ください!
※この記事に掲載されている情報は、2025年2月にサイトに公開した時点での情報です。