地方で生きる

離島で働く 八丈島編 Vol.2

夫婦で移住してウェブ制作

離島に移住。響きはとても良いけど、本当に暮らしていけるの?そう思う人もいるのではないでしょうか。島出身でUターンを希望している人、島暮らしに憧れて移住したいと考えている人。島に移住したら仕事はあるのか、どんな生活が待っているのか、島での仕事と生活についてインタビューしました。

ハスネWebDesign(自営業)
藤井脩大、岸智子(ご夫妻)

東京都三鷹市から八丈島に移住した藤井・岸夫妻。東京で同じウェブ制作会社に勤務していた際に、出会い、後に結婚。移住を考え始め、2人で独立した。夫・藤井さんがプログラミング、妻・岸さんが画像制作などを行う。

 

八丈島ってどんな島?

東京都伊豆諸島の一つ、八丈島には、羽田空港から飛行機で最短55分で行くことができる。人口は7,480人(平成30年12月)で、気候は年間を通して比較的暖かい。2つの山がくっついている八丈島は、島の形がひょうたんのような形であることから、人気テレビ番組「ひょっこりひょうたん島」のモデルと言われています。島の産業は、農業と水産業が中心。海の幸が豊かでキンメダイやトビウオなどが獲れます。また、アクティビティも盛んで、ダイビング・シュノーケリング・ハイキングなどが人気。海ではウミガメに出会えます。温泉が豊富にあり冬でも観光客が訪れます。

八丈島ではどんな仕事をしているの?

ウェブ制作を行なっています。私がプログラミングやコーディング、妻の岸がネットショップ用の商品ページを作る仕事をしており、それぞれ別の専門分野を持っています。

8割方は東京にいた時に出会ったクライアントの仕事をしており、2割が島の方からの依頼です。島では紙媒体のデザインもしています。また、撮影やライティングも行い、幅広くクリエィティブ事業を営んでいます。

八丈島を選んだきっかけは?

独立前は二人一緒の制作会社で働いていたのですが、そこの会社の社長が過労で倒れてしまいました。仕事にかなり打ち込んでいた社長でしたが、家族のサポートがいるほど体調を崩してしまった姿を見て、仕事だけではなくプライベートも安定させたいと思うようになりました。

八丈島はもともと岸の大学時代の友人が八丈島出身で、学生時代に遊びに来たことがあったのと、その友人はずっと島に戻りたがっていたので気になっていました

移住をしようと二人で考え始めた頃、そのことを思い出し八丈島が候補に。住む場所は、本島の山奥に!?など考えましたが、車の運転が得意な訳ではないし、スーパーに行くまで1時間、車を走らせるという環境も辛いかなと思いまして。八丈島は、中心地がどこからもそう遠くなく、環境の良さと東京からの近さが気に入りました。ちょうど岸の友人も八丈島にUターンをしていたので、知り合いがいるという心強さもありました。

リモートワークを実際に地方で実践してみた感想は?

独立したばかりで移住を決めたのですが、仕事があるかどうか不安というのもあり、数カ月、仕事の状況を東京で見てから移住しました。結果、独立する前からつながりがあった会社が、仕事を定期的にくれる話になり、運よく独立直後から売上を上げることができました。もちろん仕事先と信頼関係ができている状態で移住しましたが、まだまだ若いですし、失敗しても戻って来れば良いという勢いでした。

移住して2年が経ちましたが、おかげさまで仕事は順調です。会社員として働いていた時より手取りは減ってしまいましたが、島に来て生活コストも減ったため、貯金は都会にいた時よりもできています。また、八丈島は光回線の整備が行き届いているので、リモートワークがしやすい環境です。

プライベートはどう過ごしてるの?

島民ですがインドア派です。特にアクティビティなどもしていませんが、息抜きに海へ行くことはよくあります。移住を機に畑を始めました。わからないこともたくさんありますが、近所の人が手伝ってくれるのでとても助かっています。

近所の方は、島寿司作ったから!と言って、おすそ分けをくれたり、野菜をくれたり、色々手伝いもしてくれて。とても仲良くさせて頂いています。島内の会社で働いているわけではないので、なかなか島の人と触れ合う機会が持てないのですが、移住者を集めて食事会などをしてくれる人がいて、そういう集まりに参加し、知り合いを増やしています。

八丈島に暮らしてみた感想は?

東京と時間の流れが違うように感じます。仕事も、定時で上がるのが当たり前になりました。むしろ定時前に道が混雑するくらいです(笑)。海はきれいで、山もあるので癒されます。一方で仕事環境的には都会と変わりなくできているので安心です。

ただ、移住当初は、早まったかなと思うこともありました。3~4カ月探し続けてやっと見つけた家が割と古い家でした。水周りがリフォームされていたのが気に入って決めたのですが、屋根裏部屋にネズミがいて。夜にネズミが走り回る音で眠れない日々が続きました。外からよく分からない音がすると思ったら、鳥の鳴き声だったり。慣れていないからこそ、驚きが多かったです。今では、対策をしたのでネズミは出なくなり、鳴き声も鳥だと認識したので、まったく気になりません。

総合病院はありますが、眼科や皮膚科のような専門医は月に1~2回しか来ないので、大きな病気をした時は、東京に行く必要があるなと感じています。それ以外はストレスもなくなりましたし、食事も時間がある分、自分の家で作れるようになり、健康的な島暮らしができています。

今後の目標は?

より島の仕事を増やして、島に貢献したいと思っています。
島にはパソコンができない方や、ホームページを持っているけれど運営方法や活用方法がわからない事業者の方がいっぱいいます。そういう方たちを、私たちのスキルを使って助けてあげられればと思っています。プライベートでは、今は借家なので家を購入しようかという話をしています。

移住を目指す人に、八丈島はオススメですか?

おすすめです。特に私たちと同じような仕事をしている人は、東京に暮らしている意味はそれほどないのではないでしょうか?営業をするという点では確かに東京にいた方が有利かもしれないけれど、八丈島からも東京は遠くありません。

家族連れの方にもいいと思います。八丈島には待機児童はいないと聞きますし、自然も豊かで子どもが楽しめる要素がいっぱいあります。何より、都会では仕事で夜遅い帰宅になりがちですが、八丈島には定時に帰れる会社が多いので、子どもの成長を近くで見ることができると思います。気楽な気持ちで、ぜひ移住してみてください。

離島で働く 八丈島編【まとめ】

伊豆諸島・八丈島のインタビューでは、やりたい仕事があったから離島移住を決めた人と、理想の生活スタイルを求めてIターンをした人に出会うことができました。目的は違うものの、どちらも自分の生活スタイルを確立させ、充実した日々を過ごしておられました。島での仕事が必ずしものんびりだとは限りません。しかし、自分の力を試したり、都会ではなかなか難しいことに挑戦することはできるかもしれません。島民が少ない分、可能性は大きいと言えるのではないでしょうか。