ゼロから始める
地方就職Q&A集監修:LO活講師 小澤明人
第1回 準備編
第1回では、地方就活の準備~選考前までのお悩みを中心にお答えします。
未来に対して、特に期待と不安が入り混じるこの時期。
「地方就活をするにはどうしたらいいか?」といった漠然としたものから、「就活資金のこと」「親のこと」「恋愛のこと(!?)」などなど、寄せられた質問および回答の中から、活動のヒントを探してみてください。
theme 01地方就活、始め方のお悩み
A. まずは今、あなたが地方に思いを寄せる気持ちは「暮らす」と「働く」のどちらに比重があるのか、一度自分の心に問い掛けてみましょう。もちろん双方にバランスがとれることが一番ですが、若い世代での地方移住であれば「自分の将来を築くための収入」はしっかりと考えておきたいですね。
少し時間をかけてでも、地域の主要産業や面白そうな仕事を具体的に調べることから始めてみてはいかがでしょうか。
輪郭が見えてきたところで、その思いと不安を一人抱え込まず親、恩師、地方移住の先輩、友人など身近な人に相談してみるのもいいですね。思いがけない気付きもあることでしょう。
一般的な就職活動にもいえますが、誰かに頼ったり、意見に耳を傾けたりすることで自身の動機を明確化していくことが活動の第一歩。 地方就職のお悩みをプロの相談員に相談できる、LO活 個別相談もぜひ活用してみて下さい。
A. 一番の違いは、都市圏は就活のしくみの中で待っていれば情報が飛んでくる、地方就活は自分から情報をつかみに行くということです。そして地方就活の傾向として、就活イベント(インターンシップ、説明会、選考等)の実施が、都市圏のピーク期とずれることもあります。
ですから地方就活では “知る”、“探す”という積極性がより必要になってきます。
例えばLO活サイトの企業紹介や自治体別 企業紹介サイト一覧などを活用しつつ、気になるLO活事務局主催/自治体のセミナー・イベントがあれば、まず足を運んでみるのも良いでしょう。
A. 現在の拠点と希望する地方と、その距離によって差はありますが、移動にともない「交通費」(場合によって「宿泊費」)は、どうしてもかかってしまいます。まずはザックリとでも地方就活の時期や日程などスケジュールを立てて、大まかな予算を考えてみてください。
そして自己資金の確認、家族等からの援助の相談(有無の確認)など、しっかりと資金の確保をしましょう。
同時に貴重な活動資金を節約するための情報収集を行うのも◎。例えば、各自治体が交通費の補助を実施しているケースも多く、LO活サイトの自治体別地方就活助成・支援制度で検索してみるのもいいでしょう。
また、地方の合同企業説明会では東京や大阪から無料バスが出ることもあるので、こうした情報を見逃さず上手に利用して、無理のない地方就活を計画しましょう。
A. 親は“子供自身の不安”を感じ取った時に、「反対」の立場をとる傾向があります。だから一番の説得力は「自分が納得できる就活」を進められるかどうかです。「なぜ」をきちんと伝えられれば、最後にはきっとあなたの背中を後押ししてくれるでしょう。
就活は親の意向や家庭の諸事情をはじめ、深く自身(と、その周囲)と向き合う期間です。そのうえで最終的に働き方を決めるのはご自身です。
しっかり自身の現状と向かい合ったうえで、自分がどうありたいかを言葉で表す、その言葉は選考面接でも武器になりますし、自己分析の深化にもつながるはず。
大変だと後回しにせず、0次選考のような気持ちで親に向き合ってみてはいかがでしょう。
theme 02地方か都市圏か?のお悩み
A. 迷われているのは、どちらにもメリット・デメリットを感じているからだと思います。一度、「何を優先するか?」について考えを整理してみてはいかがでしょう。
働くうえで大事にしたいこと(仕事のやりがい、仕事やプライベートでこだわりたいこと、ワークライフバランス、将来のビジョン、家庭の事情、活動費用など就活における制約など)に優先順位をつけたうえで、地方または都市圏どちらが適当か比較・検討してみるといいでしょう。
A. 両立する分、かける時間も多くなりますがもちろん可能です。
都市圏と地方の就活イベントの進行具合に注意しつつ、効率的な情報収集やスケジューリングをすることが両立を実現するポイント。
限られた期間の中で、より有益な情報を収集するため都市圏開催の地方関連イベントや合同セミナーへの参加。また選考も兼ねた面接会や企業説明会を活用するのもいいですね。
資金の節約のため、LO活サイトの自治体別地方就活助成・支援制度の情報を活用するなど、かける資金もおさえつつ、スマートな両立を目指しましょう。
theme 03公務員か民間か?のお悩み
A. 地方に限らず、就活生が悩むポイントの一つですね。
まずは、「どのような仕事を行い、誰に何を貢献したいのか」を突き詰めて考えてみてください。公務員を希望する理由に「安定」と答える方も多いですが、「自分が考える安定とは?」をもう少し掘り下げてみるとよいでしょう。そしてやりたい仕事について、公務員・民間企業どちらで実現できるか?(あるいはどちらでも実現可能か?)を明確にさせたいです。
また、ワークライフバランス、将来のビジョン、家庭の事情、就活における制約などのポイントも踏まえて、公務員か民間企業か、を検討してみてはいかがでしょう。
A. 「とりあえず…」は勘弁してください(笑)。地方であればあるほど、地域の産業促進や人口問題など、その土地の未来に深く関わっていく重要な仕事になります。それだけやりがいも大きな仕事だとも言えるでしょう。
面接の現場では簡単に「地域貢献」と口にする就活生も多いのですが、地方の民間企業に勤め、その地域でまじめに暮らすことも立派な地域貢献。それでも、なぜ公務員でないといけないのか? その考えを深めることは、自身の働き方を決める一つのヒントにもなるはず。
民間企業がないというのも、はたしてゼロなのでしょうか。一度、LO活サイトの「道府県別就活支援情報」「地元の企業紹介サイト」などで情報収集してみてはいかがでしょう。自分のやりたい仕事を実現できる会社が見つかるかもしれませんよ。
theme 04Iターンについてのお悩み
A. 慣れ親しんだ生活環境から、新天地での暮らしになるわけですから、その変化やギャップには気をつけたいです。
気候条件や交通の便をはじめ、根付いた様々な文化など、その土地の特性を把握し、自分が生活するという視点での検討が必要です。出来ればその地域の良いところと一緒に、不便だと思うところも理解したうえで検討するのがいいでしょう。特に四季のある日本では、気候変化の激しい「夏」と「冬」を体験してみることは特にお勧めします。
もちろん家族にIターンの意向を伝えること、同意を得ることも忘れずに。
A. あなたにとって大変、魅力的な場所なのでしょう。ただし一度も訪れたことがないまま、思いだけでIターンの選考を進めてしまうのは心配です。一度、総合的に広いエリアの地域性(産業・交通網・自然環境)をつかんだうえで、個々の求人票に向き合うことをお勧めします。
そしてできればインターンシップや職場見学などを通じて、希望のIターン先に足を運んでみると良いでしょう。企業を知るだけでなく、現地の生活環境を知る良い機会にもなります。
探し方としてはLO活サイトのセミナー・イベント情報より<インターン・就労体験>にチェックを入れて検索。どうしても費用や時間はかかりますが、自治体によっては、交通費・宿泊費などの補助(LO活サイトの自治体別地方就活助成・支援制度参照)もあるので、併せて活用するとよいでしょう。
A. 愛ですね! ただし交際を優先しすぎるがあまり、志望動機がそれ一辺倒にならぬようご注意ください。選考で正直にその旨を話したとして、企業やその地域に対しての思いは伝わりません。就活の結果はあくまでも「そこで働くこと」への動機をジャッジされるのです。
地域研究は自分でも行いましょう。そして、企業研究や自己分析の中から「なぜこの仕事なのか」「なぜこの地域なのか」もじっくりと探り、自分なりの志望動機を組み上げてください。
就活を機にパートナーと将来のことをお話するのもいいですね。どうかお幸せに!
A. すでにその2つが決まっていれば、希望と一致する企業情報を得ることを優先に、以下などで情報収集をしつつ、良い感触を覚えた企業や、就活イベントに積極的に関わっていくことをおすすめします。
・LO活 道府県別就活支援情報(該当する県で検索)
・LO活 自治体別の企業紹介サイト一覧
・LO活事務局主催/自治体のセミナー・イベント情報
A. すでに行きたい地域が決まっていれば、やはり広いエリアの地域性を理解したうえで一つひとつの企業を見ていきましょう。
現在、その希望地域にどういった求人があるか? 以下などで情報収集をしつつ、業界・企業・職種研究を進めていくことをおすすめします。
・LO活 道府県別就活支援情報(該当する県で検索)
・LO活 自治体別の企業紹介サイト一覧
・LO活事務局主催/自治体のセミナー・イベント情報
A. すでにやりたい仕事がきまっていれば、業界サイトや各仕事の専門サイトなどを参考に、やりたい仕事が実現できる、またご自身の専門分野を活かせる企業を全国から探してみましょう。また、全国移住ナビ は、希望する職種を全国から検索できるサイトです。このような全国の求人を集めた検索サイトを活用してみてください。
また効率的な方法として、やりたい仕事の中のキーワードをいくつかピックアップして、「キーワード[スペース]県(市)の産業」などとウェブ検索をしてみると、力を入れている自治体を見つけることが出来ます。
また、見つけた企業の所在地である地域についても調べてみましょう。「働く」こと、「暮らす」ことの両面で検討することが大切です。
A. 地域への愛着、理想の生活・仕事環境など、地方就職を考えたキッカケや理由をもう一度、思い出してみましょう。そのうえで特にこだわりたいことは何か? 志望動機の土台にもなる、その「思い」を明確化していきましょう。
theme 05インターンシップについてのお悩み
A. 探し方としては、LO活サイトのセミナー・イベント情報より<インターン・就労体験>にチェックを入れて情報を収集してみましょう。また、以下のサイトにも全国で開催中のインターン情報が充実しています。エリアをある程度絞ったうえで、検索してみるとよいでしょう。
・日本全国のインターン・インターンシップ募集求人情報サイト | PROJECT INDEX
・総務省|ふるさとワーキングホリデー ポータルサイト
・NPO法人ETIC.|(地域ベンチャー留学)
・地方創生インターンシップポータルサイト
そのほか各自治体のサイトや、お近くの自治体の窓口に足を運ぶのもおすすめです。自治体によっては、希望に合うインターンをマッチングサポートしてくれることもあるので、気軽に相談を持ち掛けてみてはいかがでしょう。
但し、地方企業のインターンシップはカタチとして準備されていない場合も多いので、目ぼしい企業が見つかれば“インターンシップ”の言葉を使わず「会社を見学させて頂けませんか?」と問い合わせてみましょう。メールではなく電話で問い合わせることが成功の秘訣です。ほとんどの企業は喜んであなたを受け止めてくれるはずです。
A. 2020卒のアンケートデータで見ると、インターンシップに“参加した学生”と“未参加の学生”との内定率の進捗には、大きな開きが出ていることが分かります。また、インターンシップ先からの内定のうち、50%以上の学生が入社を決めているという結果もあります。
インターンシップは、インターネットだけでは分からない企業の素顔を知れる貴重な機会です。
実際の職場で人に触れ、仕事を体験することで、入社後に働く自身の姿を想像しやすくなりますし、業界や企業、仕事内容に対しての理解が深まることで、ミスマッチを防ぐこともできます。
知見を広げるため、あえて幅広い分野を対象に参加するというのもいいですね。体験を通じて、職業に対していい意味で認識が変わり、新しい選択肢が加わる。これもインターンの一つの使い方と言えるでしょう。
A. インターンシップにも、疑似体験型(1day~)、職場見学型(1day)、実習体験型(week~)、実務就業型(長期)と、期間・内容・参加の仕方も様々です。具体的な内容を調べたうえで、目的を明確にして参加するようにしましょう。
インターンシップ参加において、大切なのは終了後。参加したいと思った目的は達成できたか? もっと知りたいことはなかったか? しっかりと振り返り、今後の就活につなげて下さい。
A. メリットはいくつかあります。まずインターンをする企業を選ぶうえで情報収集をすると思うのですが、その結果、多くの地方企業を知る機会になること。
インターン後は地方で数日過ごすことで、土地勘をつかめますし、通勤時間・通勤交通手段、生活環境や生活費等も含め都市圏と比較できることも大きいです。
特にIターンを希望される方は、移住先にもなるわけですから、赴いて得られるものは大きいかと思います。気になる場所から、働きたい場所へ…より思いを深める経験になるかもしれません。
また、インターン参加時に気が付いたこと、感想は、Iターン希望者ならではの視点が入った、強い志望動機にもつながることでしょう。
A. 地方企業のインターンシップはカタチとして準備されていない場合も多いのです。
でもあきらめる必要はありません。気になる企業があれば直接、人事部宛に問合せの電話をしてみましょう。
企業のホームページ上でインターンシップの予定が確認できない場合は、いきなり 「インターンシップ」という表現ではなく、企業見学や、お話を聞きたいので、お伺いしたいという旨を伝えることで、多くの企業は対応してくれるでしょう。
A. 地方インターンにかかる交通費や宿泊費用を自治体が補助してくれる場合があります。
以下で検索。または県・市などの各自治体に問い合わせてみて下さい。
LO活 自治体別地方就活助成・支援制度
自身が補助の対象に該当するか? また提出物や事前申請が必要な自治体もあるので締切日含めて確認を。制度を上手く活用することも、地方就活のポイントです。