インタビュー

地方就活を振り返って~LO活卒業生インタビュー【3】
ものづくりに惹かれて―東京から山梨へ Uターン就職

LO活を活用して地方就職を実現した「LO活卒業生」に会いに行こう!という本企画。

今回は、2019年の春に都内の大学を卒業し、地元・山梨県へUターン就職を叶えた相川純伶さんを訪ねました。

大学では法律を学んでいた相川さんが、どのような経緯で、現在勤める地元・山梨県の製造系メーカーに惹かれ、内定を得たのでしょう? 就活時に相談員としてサポートを担当したLO活相談員の浦元さんと共に、当時の就活を振り返っていただきました。

後半では、相川さんの現在の仕事や暮らしぶりについても迫ります。

相川さんの経験談が、これから地方就職を考えている皆さんのヒントになれば幸いです。

 

LO活卒業生プロフィール

相川 純伶さん
山梨県出身。中央大学法学部 国際関係法学科卒業。在学中は、国内だけでなく国際的な問題にも視野を広げ、LGBTの人権に関する国際法などを学ぶ。2019年に大学卒業後、実家のある山梨県に戻り、真空部品・装置メーカー「株式会社ミラプロ」に就職。現在は総務部法務課で働いている。趣味は喫茶店巡り。

 

企業情報

株式会社ミラプロ
住所:山梨県北杜市須玉町穴平1100番地

地方就活を通して学んだ、自分を伝える大切さ

―東京から地元の山梨へ戻って就職をした相川さんですが、当初からUターンを予定していたのですか?

相川:山梨で就職したいと考え始めたのは、大学3年生の2月頃からです。それまでは公務員を目指して勉強をしていたのですが、周囲の状況に焦るようになり…。一時期、勉強と就活の両立を図ってみたのですが、なかなか上手くいかず。

そんな中ふと、地元にも目を向けてみようかなと思ったんです。東京での一人暮らしを経て、改めて山梨の魅力に気付いたと言いますか。空気が澄んでいて過ごしやすいし、住んでいた当時は見慣れていた富士山が常に見える環境も魅力だなって。そこから地方就活のイベントにも参加するようになりました。

浦元:僕が初めてお会いしたのは、3年生の7月ですね。彼女と同じ学校の生徒さんから「就活で悩んでいる友達がいるので会ってください」と紹介されたのが相川さんでした。当時はどこからも内定がもらえず、就活が上手くいっていない様子で、「友達に紹介されて仕方なく来た」という感じでしたね(笑)。

相川:すみません。当時は本当に心が枯れていた時期だったので(笑)。

 

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―どういった経緯で、文系でありながら、製造系のメーカーを志望するに至ったのですか?

相川:初めて製造系メーカーの工場見学に行った時、そこで働いている方々や機械が動いている様子を見て、すごくワクワクしたんです。専門的な詳しい部分は分からなかったのですが、日本の技術や製品が世界で活躍していることを知って、ものづくりに憧れを抱くようになりました。

その後、山梨で行われた合同説明会でミラプロを知り、興味を持ち始めたところに偶然、LO活さんが資料を持ってきてくださったんです。早速、会社訪問をしたのですが、社員の皆さんがすごく活き活きされていて。社員の方が語る小さな部品の中に込められた思いや誇りを知るほど、意欲が高まっていきました。

浦元:僕自身もかつてメーカーで働いていたので、この話を聞いた時はとても親近感が湧きましたね。会社訪問も、いい出会いだったのでしょう。再会した時には「自分はこの会社で働きたい!」という意欲に溢れていました。

 

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―いわゆる就活対策は、お2人でどのように固めていきましたか?

相川:これまで(公務員)試験の対策ばかりだったので、浦元さんとお会いするまでは面接の練習を全然してこなかったんです。ありきたりな言葉でしか伝えられず、最初はなかなか上手くいきませんでした。

浦元:彼女は自分自身の中ですごくいろいろなことを考えているし、自分なりに整理もしていたとは思うんですけど、「自分のことを相手にきちんと伝える」という点においては当初、未熟な印象でした。

相川:自分の思っていることをどうやって表現したらいいのか分からなくて、上手く言葉にできなかったんです。だけど浦元さんが私と対等の立場で気軽に話しかけてくださって、自分の考えを伝えやすい環境を作ってくれました。それが自分を変える一番のきっかけになったと思います。

浦元:私の方から質問をすれば、ちゃんと答えが返ってくるわけですよ。だけどそれを自分からは伝えられないっていうだけの話だったので、ちょっと後押しすれば大丈夫だろうなと思っていました。就活する上で「自分の言葉で伝える」というのはとても大切なことなので、「流暢でなくてもいいから、あまり余計なことは考えず、借りてきた言葉ではない自分の言葉で自分の思ったことを言ってごらん」とアドバイスをしました。

相川:浦元さんは、良い点も悪い点もズバッと言ってくださるんです。その言い方も、就活が上手くいかずに落ち込んでいる心にただ塩を塗るようなものではなく、そこを直していくにはどうしたらいいのか? 論理立ててお話いただけるので、スッと入ってきました。

浦元:面接の良し悪しを分析する上で、私以外の意見もあったほうがいいと思ったので、同僚のキャリアコンサルタントにも面接をお願いしました。そのフィードバックを客観的な意見として取り入れるということもしてみました。欠点を直すというよりは、長所を伸ばしたいと思ったので、彼女自身が気付いていない良い部分を見つけ出して「君の良いところはここだよ」と教えてあげたくて。最初は応募書類もどちらかというときれいごとばかりが書かれていて、相川さん自身のことを訴えるような感じではなかった。それをなんとか変えたかったというか、素の相川さんを発見したかったんです。

相川:欠点の場合は「ここを直さなきゃいけない」と、自身でも気付きやすいのですが、長所の場合はなかなか自分では気付けないので、指摘されて初めて腑に落ちることも多かったです。

 

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―お話を伺っていると、相川さんが就活を通して得たものは大きそうですね。

相川:そうですね。特に実感したのが、いろいろな人と話すことの大切さです。当たり前のことですが、話題を繋げてコミュニケーションをとることで相手の考えを知ることができるし、自分の考えも出来るだけ想いを乗せて伝えることが大事なのだと気付きました。

浦元:就活中に山梨で行われたボランティアに参加された際も、参加するだけでなく、自分からいろいろな人に話しかけてみたとおっしゃっていましたね。結局、こういったことは教わるのではなく、その後のこうした彼女なりの地道な努力の賜物なんですね。

だから相談員としては、こちらから「ああしろこうしろ」とは言わず、「こんな考えもあるよ」と、ヒントをあげるような気持ちでやっています。

相川:相談の際、気になったところはその場で答えを出さず、いったん持ち帰り冷静になって、自分の考えと照らし合わせるようにしました。そして次の面談の際に、浦元さんと一緒に擦り合わせる、ということができたのも助かりました。

浦元:回答を急がず、またお会いして「こういうことだよね」って確認するのが一番効果的なんですよね。こうして最後まで頼りにしてくれる方もいる一方、もういいやって来なくなる方も少なくありません。だからこそ、今日はこうして活き活きと働く相川さんの姿を見られて、すごく嬉しいです。

 

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好きだからこそ、もっと自社の製品に詳しくなりたい

―ここからは、地方就職をして1年目の相川さんに、今のお仕事や暮らしぶりについて語っていただきます。総務部法務課に勤務されているとのことですが、具体的な仕事内容は?

相川:社員が困っていることを解決するのが総務部の主な仕事です。去年の夏に総務部内の法務課に異動してからは、契約書のチェックや会社のルールの見直し、最近では海外の方の雇用サポートやインターンのサポートもしています。会社の“縁の下の力持ち”として、社員の方から「ありがとう」と言っていただける時がやっぱり1番嬉しいですね。あとは「契約書のここを修正した方がいいな」など、会社員の立場で考えたことが業務とうまくマッチしたり、それを見つけられたりした時にやりがいを感じます。

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―仕事をする上で、こうありたいという今後の目標はありますか?

相川:自分の中で優先順位をつけて、先輩方のようにスムーズに仕事ができるようになりたいです。それと商品の魅力に惹かれて入社した訳ですから、専門的な部分も含めて「より自社の製品のことを知る」というのが今年の目標です。

 

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―仕事も充実してそうですが、久しぶりの山梨での暮らしはいかがですか?

相川:とにかく物価が安い。それと野生動物に遭う確率も高いですね。シカ、キツネ、タヌキ、イタチ、サル……私は動物が好きなので、遭遇できると嬉しいです。住んでいる寮もちょうど目の前に富士山が見えるので、朝焼けが綺麗ですね。夏だと陽が長いので夕焼けも綺麗に見えます。「懐かしい」が新鮮な新生活です。

また、慣れ親しんだ環境なので、落ち着いて自分の生活を送れます。仕事や日常生活のこと、自分のことについてじっくり考える時間があるのも良いですね。

 

―そんな相川さんにとって、オフの時の楽しみは何ですか?

相川:喫茶店を巡るのが好きです。ここ1年の間で山梨県の端から端まで車で廻りました。お気に入りのお店をいくつか見つけたので、いつか常連になりたいと思っています。

今後は、大学時代にやっていた富士山の麓にある駐車場のゴミ拾いや、炊き出しのほか、いろいろなボランティアにも積極的に参加したいですね。

 

実際に自分が見たこと、感じたことを大切に

―最後にこれから地方就職を志す皆さんへ、アドバイスなどあれば教えて下さい。

相川:いろいろな人とたくさんお話をして、幅広い視野を自分の中に持つこと。これだという自身の決めつけに固執しすぎないことが大事だと思います。私は結構な頑固者なので、時間がある時はなるべく心の中で自分を客観視するようにしていて、今も気を付けるようにしています。

あとは、先輩方も皆さんおっしゃっていることですが、なるべく早い時期からさまざまな企業を満遍なく見に行くことも大切だと思います。3年生の3月ぐらいになったらある程度“軸”や方向性を定めておいた方がいいとは思うのですが、それまでは「難しそうだなぁ」とか「向いてないだろうな」と決め込まず、いろいろなところに足を運んで、実際に働いている方々の表情などを見て、自分が感じたことを大切にしてほしいです。

 

就活は「自分が気づけない自分を知る」貴重な機会

人間には必ず「自分では絶対に気づけない部分」というのがあります。そこを相手から見た自分を知る、いわゆる「他己分析」で補うわけです。一般的には、親や友人など近しい人にすると良いとされていますが、近すぎるがあまり、評価が甘くなってしまうこともあるでしょう。

「(相談員の浦元さんは)良い点も悪い点もズバッと言ってくださるんです」と笑いながら語ってくれた相川さん。その笑顔には、自分が納得のいく「自分では絶対に気づけない部分」を指摘された喜びも含まれているのではないでしょうか。

就活を始めて、これまであまり興味がなかった、ものづくり(機械)好きが過熱していく過程も面白かったです。

自分が気づけない自分を知ったり、好きなものが増えたり。就活は大変だという一方、刺激にも溢れたものなのだと、二人のお話を通して改めて教えてもらった気がします。

 


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※この記事に掲載されている情報は、2020年3月にサイトに公開した時点での情報です。