スペシャルインタビュー
第6回「LOCAL×はたらく」を考える

第6回「LOCAL×はたらく」を考える

イオンリテール株式会社 執行役員 人事・総務本部長  二宮 大祐 氏
1960年愛媛県生。
1982年ジャスコ株式会社(現・イオン株式会社)入社。一貫して人事畑を歩む。1997年3月神戸大学MBAコース修了。2008年イオンリテール株式会社人事部長、2011年イオン株式会社グループ人事部長、2015年2月より現職。
イオンリテール株式会社は、イオングループの中で、本州・四国の「イオン」「イオンスタイル」店舗を統括・展開する企業。各地で388の店舗(2016年2月末現在)を持つ。

テーマ1
「ローカル」に根ざしたビジネスと新人事制度

「ローカル」に根ざしたビジネスと新人事制度

皆さんが住んでいる家の近くには、イオンの店はありますか?

私たち、イオンリテールは「地域産業」です。私たちのお客さまは、イオンの店舗に来てくださる方々。当社の営業範囲は本州・四国の広いエリアに及びますが、実際には各店舗の商圏に根ざした「どローカル」な経営をしている会社です。

 

イオングループの基本理念は地域のくらしに根ざし、地域社会に貢献し続ける企業集団であることです。つまり私たちは、東京・大阪などの大都市圏を中心とするのではなく、それぞれの地域を主役に経営している会社なのです。

 

働く人の価値観も多様化し、地方を拠点に働きたいという志向も強まってきたことや、イオングループ全体で重視している「ダイバーシティ」の考え方、性別や年齢、国籍、個々の価値観などの多様性を受け入れ、活かすという方針にのっとり、2016年から、新人事制度を運用し始めました。これまでの「総合職=全国・全世界転勤あり」というスタイルとは違った選択肢、地域に根ざして働ける仕組みを提供します。

当社では、結婚・出産などのライフイベントや、自身の考えるキャリアパス、やりたい仕事に応じて、エリアや業務を選択できるチャンスを与える人事体系を採っています。その意味では、地方で社会人のスタートを切っても、他社よりずっとチャンスの多い会社だと思います。

テーマ2
東京も地方もない。今の環境は「フラット」

東京も地方もない。今の環境は「フラット」

一昔前ならいざ知らず、今は東京も地方もなく、どこでも「フラット」な環境だと私は考えています。インターネットや物流の発展もあり、新鮮な情報を世界中で即時に受信することができますし、買い物だってどこでもできます。都会のものを地方で入手することも、その逆に地方の物産を都会で買うことも、ごく当たり前にできるようになりました。

 

そんな現代、どこで働いても、どこに住んでも、さほど明確なメリット・デメリットはなくなったように思います。そもそも「本当に大都市圏にしかないもの」はどれだけあるでしょうか。逆に「本当にその地方にしかないもの」はまだまだ未発掘のものも多く、また、その地方の人が気づいていない魅力もあるでしょう。

 

となると、あとは有利不利ではなく「個人の価値観」が大事だと考えます。つまり、個人が「どこに住みたいか」「どこで働きたいか」です。地方のメリット・デメリットという考え方をやめて、素直に「好きか」「嫌いか」を軸に考えてみるのもひとつの手ではないでしょうか。

 

しかし、大都市圏、言い換えれば「本社」にしかない仕事があるのも事実です。当社で言えば、会社全体をコントロールするような業務は本社にしかありません。

それならば、ここでも考え方を変えればいい。たとえば、今までは「総合職として就職し、ときには経験を積むために地方に転勤し、また東京に戻ってくる」のが普通なのだとしたら、今後は逆に「地方にベースを置き、経験すべきときには東京に行って、また自分の地方に戻ってくる」ようにすればいいのです。

 

長い仕事人生、「将来何をしたいか」によって、経験すべきこと、経験すべき場所もさまざまでしょう。そんなときに「地方にいるから」と可能性を閉ざさずに済むシステムがあればいいわけです。それなら、今までのような「いわゆる総合職」ではなくても、自分の選んだ地方に軸足を置いたうえで、自身の可能性を広げる働き方ができるはずです。

テーマ3
「若さ」を武器にしよう

「若さ」を武器にしよう

私も人事として、これまで数多くの就活生に接してきましたが、正直な話、何度かの面接だけでは、その人物の性格や可能性をすべて判断することは不可能です。また、就活生も「これまでに経験してきたこと」をたくさんアピールされますが、私たちにとっては、それよりも求めているものがあります。それが「若さ」です。

 

これから社会に巣立つ皆さんの最大の武器は、文字通り「若さ」でしょう。ですが、その「若さ」こそ、社会が皆さんに求めているものなのです。

「若さ」は、企業に、そして社会に新風を吹き込み、これまでとは違う価値観を取り入れるために必要なもの。「当たり前」や「スタンダード」を壊し、変えていくのは、若者だけの特権です。今後は、平成生まれの皆さんが日本を背負っていく時代。愚直に、青臭く、若さを発揮して思い切ってやってほしいですね。

 

皆さんの活躍の場は、東京・大阪といった大都市圏だけに限らないということは、これまで述べてきた通りです。特に当社にとっては、一店舗一店舗、各地域がすべて「主戦場」。イオンのお店は、地方のライフラインのひとつとして、今後も各地のお客様のために活動してまいりたいと思います。

 

(2016年12月27日掲載)