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特 集

【教えて!海上先生】どんな魅力があるの?
中小企業への就職、大企業への就職 <講演録 Vol.2>

【第2回】大企業を選んだ人、中小企業を選んだ人、それぞれ何を重視したか?


											

みなさんこんにちは、海上(うなかみ)です。(※)

前回の講義では、学生の皆さんが就職先を探そうにも、なかなか有名な大企業以外思い浮かばないケースが多いなか、実は中小企業に就職する人のほうが圧倒的多数派であるという、意外な事実についてお話をしました。

今回は、大企業に就職した人は、どんな点を重視して大企業を選んだのか。逆に、中小企業に就職した人は、何が決め手だったのか。この点について細かく見ていきながら、そこで選べるライフスタイルについて考えたいと思います。
(※文末に略歴)

 

(この講演録は、海上委員が行った講演を「地方人材還流促進事業」事務局にて、特集記事としてまとめたものです。)

 

 

■大企業を選んだ理由は、「大きい」「有名」「見栄え」

個人の感覚や経験談ではなく、データに基づいた解説が本講義の特徴です。「就職時にどういう点を重視したのか」という点についても、ダイレクトに知るためにアンケートを実施しました。約3,300人の働き手から集めた回答を整理して紹介します。

 

図-1 企業を選ぶとき、なにを重視したか?

											
海上先生_Figure_180131_03

図-1では、何を重視して就職先を選んだのかをヨコ軸に展開し、タテ軸は回答者数の多さを表しています。

ここでは、大企業に入社した人が多く回答した項目を図中の右側に寄せ、逆に中小企業の就職した人が多く回答した項目を左に寄せてあります。グリーン(中小企業)とオレンジ(大企業)の棒グラフの長さを比較することで、特徴的な点が見えるはずです。そこで、その長さのギャップの大きさを折れ線グラフで表しました。つまり、折れ線グラフが尖っているところが大企業あるいは中小企業の特徴が強く表れている項目になります。

まず大企業を選んだ理由がハッキリと出ている項目を見てみましょう。グラフ右側から、折れ線グラフが下向きに尖っている項目をみると、「規模の大きさ」「知名度の高さ」「世間や周囲からの評判」などを重視して大企業を選んだ人が多いとわかります。

“寄らば大樹の陰”という言葉もあります。大企業を選んだ人は、とにかく「大きい」「有名」「見栄え」が大事と考えたようです。

そんな外見ばかりでいいんでしょうか?
少々単純な理由にも見えますが、他には、「海外転勤等の機会」「社会貢献」「夢の実現」なども目立っており、グローバルな活躍や社会貢献などを実現したいと考えている面もうかがわれます。

 

■中小企業を選んだのは、「近い」「残業少ない」「転勤少ない」

では、中小企業の方はというと、先ほどとは逆に、グラフ左側から、折れ線グラフが上に尖っている項目をみましょう。すると、「通勤時間の短さ」「残業の少なさ」「遠隔地転勤の少なさ」などを重視した人が多いことがわかります。要するに“地元での生活が大事”なので、中小企業を選んだということです。

それって「生活が一番、仕事は二の次」ということ?
と聞きたくなる経営者や人事担当者もいると思います。「なんと嘆かわしい」と溜息をつく人もいることでしょう。

ただ、これが働き手の皆さんの本音なのです。
それに、こうした本音は、今、さかんに提唱されている「ワーク・ライフ・バランス」とか「スローライフ」という考え方にマッチしています。仕事だけに埋没せず、人としての生活を重視する生き方といえるかもしれません。

もちろん、それだけではなく、中小企業ならではの「経営者との距離の近さ」を重視して会社を選んだ人も多くいます。経営トップを身近に感じることで、組織のなかで埋没しない生き方を求めているとも解釈できるでしょう。

 

■中小企業はワーク・ライフ・バランスが実現しやすい

地元での生活を重視して中小企業を選んだという本音は、働き手の方々に直接インタビューした結果からも多く聞くことができました。実際の声をいくつか紹介しましょう(図-2)。

図-2 働き手インタビュー結果 ~地元での生活を重視して会社を選んだ例

 


											
図2

例えば、宮城の男性の回答者は、「東京に就職するつもりなら、いくらでもできる売り手市場の時代だったが、地元しか受けなかった」といい、茨城の男性は、「(今の会社なら)通勤は車で15分。転勤があったら大手でも嫌。」と言っています。

また、福岡の男性は、「中小企業なら、自分のライフスタイルに合わせた仕事選びができる。転勤が嫌な人は転勤がない会社を選べる。ここで働きたいという場所にそうそう大手企業はない」ということで中小企業を選んだそうです。

都合よく地元に大企業があるなら、それもよいでしょうが、数は少なく狭き門です。その点、中小企業なら地元にも多数あるし、業種も選択肢も豊富だといえます。通勤時間に掛ける時間を自由時間に回すことができれば、地元の友人たちとの交流も容易です。

なかには、「家も建てたし子供もいるし、地元でバスケもやっているから、東京には行きたくないと言ったら、地元に事務所を作ってくれた」などという、ちょっとワガママ(?)な個人の事情にまで配慮して、経営者が中小企業ならではの柔軟性をみせてくれた例もあります。

 

 

 

■転勤が多くて大企業を辞めるケースも

片や、「前職の大企業は転勤が多いことが辞めた大きな理由。1万人の社員のなかで、なかなか1人の希望を聞いてくれなかった」という声とは対照的です。海外を含む遠隔地転勤の多さ、個人の希望の通りにくさ、これは大企業勤務に多くみられる現実ではあります。

かつての日本では「仕事人間」「モーレツ社員」「社畜」などという言葉もありました。そんな生き方への反動もあって、今日では、「ゆとり」や「癒し」などが重視されています。

「地元生活が大事だから中小企業を選びました」というのも自然なことであり、人生設計における一つの賢明な選択の結果だといえます。

最近では、特に若者の間で地元志向が強まってきたようです。グローバルな仕事もいいですが、家族や友人の近くで過ごしたいという人が、地方の中小企業に大きな魅力を感じているのです。

そうした地元生活を実現できるというメリットに加え、中小企業で働くとどんな良いことがあるのか。次回は、その点について詳しく解説します。

 


											

【 講 師 略 歴 】
海上(うなかみ) 泰生(厚生労働省「地方人材還流促進事業」助言指導委員)
早稲田大学法学部卒業後、中小企業信用保険公庫、中小企業庁長官官房、通商産業省(現経済産業省)貿易局 課長補佐、
OECD(経済協力開発機構)パリ本部 輸出信用専門家会合委員、日本政策金融公庫総合研究所グループ長を歴任し、主席研究員(現職)。
埼玉大学大学院非常勤講師を経て、現在、横浜市立大学・立教大学・三重大学の3大学の講師を兼務。
所属学会 : 日本金融学会、組織学会、日本中小企業学会

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