特集

地方就活を振り返って~LO活卒業生インタビュー【2】
働く“軸”を模索した先にー東京から茨城へ Uターン就職

LO活を活用して地方就職を実現した「LO活卒業生」に会いに行こう!という本企画。

今回は、2019年の春に都内の大学を卒業し、故郷・茨城県でUターン就職を叶えた大久保 華さんを訪ねました。大久保さんは、現在、第一志望だった国立研究開発法人防災科学技術研究所(以下、防災科研)の新人職員として働いています。

なぜUターンを決意し、どのように就活に取り組んだのでしょう? 前半では、内定までの道のりを、LO活相談員の小越さんと一緒に振り返ってもらいます。後半では、今の仕事や暮らしについてインタビュー。

大久保さんの経験から、地方就活のヒントが見えてきます。

 

LO活卒業生プロフィール

大久保 華さん
茨城県出身。都内の大学へ進み、WEBサイトや電子書籍の制作などを学ぶ。大学4年の6月にLO活に出会い、本格的に地方就活をスタート。9月に茨城県つくば市の防災科研の内定を獲得し、Uターン就職を果たした。現在は企画部研究推進課で働いている。

 

企業情報

国立研究開発法人防災科学技術研究所
住所:茨城県つくば市天王台3-1

地方就活を通して見つけた、人生の軸

―この春、東京から地元の茨城へ戻って就職をした大久保さんですが、当初からUターンを予定していたのですか?

大久保:私は就活のスタート自体が遅めで、大学3年の2月から情報収集を、4年の4月頃からエントリーをはじめたのですが、最初は東京:地方=8:2の割合で、東京での就職を考えていました。でも、自分がどんな業界で働きたいのか、どんな仕事をしたいのか、まだぼんやりとしていました。就職セミナーや合同説明会に参加しても、自分自身がどうしたいのかがわからないまま、時間とお金と体力を消耗していくばかりでした

小越:当時はエントリーシートもなかなか通らず、面接では緊張してしまい、うまくいかずに苦しい時期を過ごしていたみたいですね。

大久保:大学のキャリアセンターも利用していましたが、一般的な相談はできるものの、個々の状況に合わせた具体的なアドバイスをもらうのは難しく、悩ましかったです。5月には周囲に就職の決まった人が出てきて、焦る一方で……。疲れ果ててしまいました。

 

―東京での就職を優先的に考えていた大久保さんが、地方での就職を考えるようになったきっかけとは?

大久保:就活に疲れを感じていたとき、ふと「地方にも目を向けてみようかな」という気持ちになりました。地元の茨城も含め、関東圏全体を視野に入れるようにしてみたんです。

小越:ちょうどその頃、LO活を訪ねてくれましたよね?

大久保:大学でLO活のチラシを見て、藁にもすがる思いで足を運びました。

 

―小越さんは、大久保さんのそれまでの就活をどのように思いましたか?

小越:これまでどんな活動をしてきたのかを聞いたとき、大久保さんはびっしりと文字が書き込まれたノートを開きました。うまくいかなかったのはなぜか、どこがダメだったのか、自分で振り返って反省点を書き出していたんです。ビジネスの基本とされる「PDCAサイクル(Plan=計画、Do=実行、Check=評価<振り返り>、Action=改善)」の中でも、「Check」はなかなかできないこと。大久保さんは、それができる。そういう人は必ず成長すると思いました。

大久保:自分で書いたエントリーシートも見ていただきました。

小越:何度も書き直してつくったんだろうな、というのがわかるもので、手直しするところはほとんどありませんでした。あとは、面接できちんと話すことさえできれば、と。特に一次面接では目線や表情や声といった第一印象が重要で、それを改善すべく、模擬面接を行いました。

大久保:あの頃の私は、緊張のあまり、相手の目を見て話せていませんでした。そこを指摘していただけたのは大きな一歩でした。

 

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―大久保さんは、その後再び小越さんに相談に訪れていますね?

大久保:8月、防災科研の最終面接を前に、もう一度模擬面接をお願いしました。

小越:そのときには、見違えるほど目が輝いていました。一度目のアドバイスをしっかり受け止めて、その後の面接で実践してくれたんだなと思いました。最終面接対策として、ホームページで防災科研の使命や基本目標・理念などを理解しておくとともに、「ここで何がしたいか」「5年後、10年後にどうなりたいか」について話すとよいのではないかと伝えました。

大久保:相談のあとカフェに直行して、もらったアドバイスをノートに書き込んだのをよく覚えています。

小越:あとは、せっかくだから、熱意と意欲を示すためにも職場訪問をしてみたらどうかと提案しました。

大久保:実際、最終面接の前に防災科研の自然災害情報室を見学させてもらいました。面接では、もちろんそのときのことを話しました。

 

―その最終面接に通り、防災科研から内定の知らせが届いたのですね。

大久保:9月に内定のメールを受け取りました。今があるのは、小越さんのおかげです!

小越:
いやいや、僕はちょっと背中を押しただけですよ。内定が出てすぐ、僕にもメールで知らせてくれたんだけど「うまくいかなくて悩んでいるときに、小越さんに出会えて本当によかったです。身を引き締めてがんばります」と書いてありました。最後の一文が大久保さんらしいよね。あのメールは、今思い出しても泣けます……。

 

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―小越さんはたくさんの方の地方就活の相談にのってこられましたが、大久保さんがうまくいった要因はどこにあると思いますか?

小越:就活中の学生さんの多くは、当初の大久保さんのように「自分がどうしたいのかがわからない」ということにぶつかります。でも、本当に何もないわけではなくて、みんな無意識の中にちゃんと思いを持っています。それを自覚できていない、あるいは言語化できていないだけなんです。大久保さんも話をするうちに、次第に「3つの軸」が見えてきました。

1つ目は「安定」。長く働きたいから、歴史のある会社がいいということ。

2つ目は、働くうえでの「安心」。結婚・出産後も続けたいから、人事制度の整った企業がいい、と。他の学生さんはあまり言わないことですが、仕事もプライベートも大事にしたいというワークライフバランスを気にしていました。

3つ目は「安全」。これは、防災科研の最終面接の直前に気づいた軸でした。

大久保:平成27年9月関東・東北豪雨では、茨城県常総市が水害に遭いました。馴染みの場所が被災して、自然災害が身近にあることをあらためて認識したことで、「防災」に携わる仕事ができたらと思うようになりました。

小越:こうやって軸を明確にしていくことが「こだわりや自分らしさ」となり、その「こだわりや自分らしさ」が面接官に伝わって内定にこぎつけたのだと思います。就活にも、地方ならではのことってあるんですよね。東京の大企業の面接はせいぜい15分程度ですが、地方の企業には30分以上かけるところも少なくありません。第一印象で振り落とすのではなく、きちんと時間をかけてその人のいいところを探そうとする傾向にあります。だからこそ、何か一つでも生き生きと話せることを持つ、ということが大切です。

 

―大久保さんはご自身の地方就活を振り返って、今、何を思いますか?

大久保:私の就活は、途中までは本当に苦しいものでした。でも、地方を視野に入れたとき、未来が見えました。ぼんやりしていた自分の将来像が、ハッキリとしたんです。そこで働き、暮らしていく自分の姿がちゃんとイメージできた、と言えばいいでしょうか。それは、小越さんに相談することで見えてきた3つの軸と大きく関わっています。就活を通して、自分の人生の軸を見つけることができました。

 

地元だから叶う、オンとオフのメリハリある暮らし

―ここからは、大久保さんの現在のお仕事や暮らしについて伺います。まずは、お仕事内容を教えてください。

大久保:防災科研の企画部研究推進課という部署で、契約や予算管理に携わっています。防災科研は文科省の所管なのですが、文科省との契約手続き、それに伴う予算管理などが主な業務です。

まだ1年目なので先輩たちに教わりながらではありますが、責任の重い仕事をさせてもらっています。

研究所で働くからには何かしら研究者のサポートとなることができたらと考え、就活をしているときから広報か研究推進のどちらかを希望していました。やっぱり、研究者から「ありがとう」という言葉をかけられたときにやりがいを感じます。

 

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―ちなみに、就活時代につけていた「振り返りノート」は今も続けているのですか?

大久保:今はノートではなくメモ帳に「よかった点」と「反省点」を書いています。書くことで、頭の中でぼんやりしていたことが「すっきり、はっきり」するんです。

 

―就活をしていた頃から「長く働きたい」と考えていたそうですが、将来、こんなふうになりたいというイメージはありますか?

大久保:社会人とはいえ、今はまだ学ばせてもらっている状況です。でも、いつか「これは大久保に聞けば大丈夫」と言われる人材になりたいです。社会人になってからの「勉強」は学生時代のそれとは大きく違います。学生時代は、用意された授業に出て、知識を得る。学習内容も基本は決まっています。でも、社会人としての勉強は幅が無限です。何を専門に、どこまで学ぶか、すべてを自分で選ぶことになります。仕事をしていく中で自分に合う分野を見つけて、勉強し、何かしらのプロになりたいです。

 

―現在の暮らしについてもお聞きします。久々の地元暮らしはいかがですか?

大久保:一度東京で過ごしたからこそ気づいたことだと思いますが、やっぱり時間の流れ、人の流れが違うと感じます。東京での就活を通してたくさんの社会人に出会いましたが、みんな少し疲れている印象がありました。満員電車に揺られ、カフェでもパソコンを開いて、休む間もないという感じ。私は今、実家で暮らしていて、車で通勤しています。定時には仕事を終え、オンとオフをきちんと切り替えられるようにしています。

 

―大久保さんにとって、オフの時間の楽しみは何ですか?

大久保:実は、中学生のときに持久走をして以来、走るのが好きなんです。別に陸上部だったわけでもないんですけど。東京にいた頃も走りたいと思っていたんですが、常に誰かに見られているような気がして、あまり気が進みませんでした。でも、地元では自然の中を気軽に走れます。今は、仕事を終えて帰宅したあと、自宅の近くの公園を走っています。

それから、Uターンしたことで、一時は疎遠になっていた中学時代の友人との交流が復活したのもうれしいですね。

 

地方就活は、焦らず、ゆっくり、自分のペースで

―最後に、経験者として、後輩LO活生たちへのアドバイスをお願いします。

大久保:私が言うのはおこがましいですが、周りを気にせず、自分のペースでがんばってください、と言いたいです。私は自分の軸を見つけるのに随分時間がかかってしまいましたが、今こうして希望の職場で働いています。焦らず、ゆっくり就活してほしいと思います

私にとっての小越さんのように、第三者に相談するのもよいのではないでしょうか。就活がうまくいっていなかった頃の私は、自分の狭い視野の中で物事を考えてしまい、客観的になれていませんでした。LO活のようなサポートは、自分が一体何を大事に思っているのか、に気づくきっかけになると思います

 

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時には誰かの助けを借りることも、LO活の醍醐味

今回の取材で約1年ぶりに再会した大久保さんと小越さん。

小越さんは、生き生きと働く大久保さんの姿に「顔つきが変わったね」と驚いていました。就活に苦戦する大久保さんを間近で見てきた小越さんにとって、それはとてもうれしいことだったようです。会話を弾ませる二人の間には、強い信頼関係が滲んでいました。

就活は、一人立ちのための活動ではありますが、一人でするものではないようです地方就活の場合は特に、地域の情報を得たり、その企業ならではの対策を立てたり、きめ細やかなサポートが大きく役立ちます

そして、そこでの出会いが就活後も続くかけがえのない縁になることもあるのです。取材を終えたあと、二人は「またLO活に遊びにきてよ」「はい、行きます!」と言葉を交わしていました。みなさんも、ぜひ気軽にLO活の扉を叩いてください。

 

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