特集

地方就活を振り返って~LO活卒業生インタビュー【1】
林業の仕事に就くため東京から広島へ Uターン転職

LO 活を活用し、地方就職したばかりの「LO活卒業生」に就活当時を振り返ってもらう本企画。

今回は広島県尾道市の企業で、林業の仕事に就く三宅隆寛さんの元へ――。

東京で事務職をしていた三宅さんがどのように地方就活に取り組み、異業種である林業の仕事に就いたのか? 就活時に相談員としてサポートを担当したLO活相談員の小山さんと共に、当時を振り返っていただきました。また、三宅さんの現在の仕事・暮らし・感じていることなどにも迫ります。これから地方就職を考えている皆さんの参考になれば幸いです。

 

LO活卒業生プロフィール

三宅 隆寛さん
広島県出身。広島市立大学国際学部を経て、東京都内に本社を置く大手建材メーカーの事務職に。30歳を前に山で働ける林業に興味を抱き、昨年、転職活動を開始。実家のある広島を転職先に定め、現在は広島県尾道市に拠点を置く「きこり’S はらだ」で林業に従事。山の整備などに汗を流し、忙しいながらも充実した日々を送っている。

 

企業情報

「きこり’S はらだ」
住所:広島県尾道市 御調町市300−8

1年前の地方就活を振り返って

―地方就職を志したきっかけはなんだったのでしょう?

三宅:30歳を前にして、本当にやりたい仕事について考え始めたのがきっかけです。前職(事務職)も充実していましたが、山で働きたいという思いと、かねてよりあった環境問題に取り組みたいという思いから、林業への興味が大きくなっていったんです。そんな折に、通勤途中に「移住・交流情報ガーデン」に立ち寄ったのがLO活との出会いです。

小山:最初にいらっしゃったのは‘18年9月でしたね。今の精悍なお姿とは違ってスッキリとしたスーツ姿でした(笑)。当時、いらっしゃったときはどんな心境だったんですか?

三宅:山に関わる仕事をしたいと思っても、どのように就活をすれば良いものか? 五里霧中といった状況でした。最初は求人票の見方や林業の情報の集め方などを丁寧に教えていただいて、今振り返っても地方就職の第一歩として、とてもいいきっかけを与えてもらったと思っています。

小山:三宅さんは、こちらからご紹介した林業関係の団体やイベントへの働きかけも迅速でしたね。

三宅:実際に動いてみないことにはと考えて、紹介していただいた福島の移住イベントへ早速行ってみたんです。林業に従事する人を増やそうというブースもあり、自治体の方や南会津町の地域おこし協力隊の方たちとも知り合って。そこで私のような専門外の者が林業に従事するという不安を投げかけましたら、フラットに聞いてくださった上で、「相談したり支援制度を使ったりするからといって必ずしもその県に移住したり、その企業に就職したりしなければいけないということではないから。自分の人生のことを第一に考えて、まずは移住を希望する都道府県の訪問や就業体験を楽しんで」とおっしゃっていただけて、随分と気持ちが楽になりました。

小山:相談にいらっしゃる度に、どんどん林業への知識を深められているなと思いました。

三宅:次に小山さんに教えていただいた林業のサイトから、東京都内でボランティア・リーダーを育成する活動をしている団体を見つけて、12月から就職を決めるまで活動に参加していたんです。そこでは木の登り方やロープの結び方など基本的なことを学んで。

小山:すごい行動力です。

三宅:これまでの仕事とはまったく違う業界でしたし、未経験の自分を受け入れてくれる企業があるかさえ不安だったんです。だからまずは経験することを優先し、活動を続けながら、向き不向きや興味を持ち続けられるかを確認して、その中でどんどんと志望動機も固まっていった形です。

小山:転職活動においてLO活が支えになれたことはありましたか?

三宅:話す機会を与えてくれたことですね。自分一人で考えていると不安に押しつぶされそうになることもありましたが、LO活でサポートしてくださる方は不安を払拭してくれる経験値がありますし、色んな話をさせていただく中で、自分の考えを引き出してくれるんです。考えをまとめる上でも大変頼りになりました。

小山:三宅さんはお伝えした1つの情報に対して、行動を経て10を得るといいますか、ご自身で積極的に働きかけて、情報を取りに行く…その姿勢が素晴らしいなと思っていました。

三宅:毎週末には林業関連のイベントやボランティアの予定を入れて、就活後半は平日も参加していました。イベントへ行くと、そこから数珠つなぎで色んな情報や人を紹介していただけたので、実際に林業に携わるというビジョンも具体的になっていきました。

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―三宅さんが現在勤める『株式会社きこり'Sはらだ』と出会ったきっかけは?

三宅:LO活で林業関連の就職窓口を調べている中で、ハローワーク品川に農林漁業就職支援コーナーがあることを知りました。そこで希望する条件をお伝えして探してもらったのが今の会社だったんです。

小山:どんな条件で探したのですか?

三宅:まずは未経験でもOKかどうか。求人情報に「初心者に丁寧に教える」という姿勢が明確に見られたので、私でも大丈夫だと思えました。それと勤務地。これはイベントで知り合った林業事業団体でお世話になった福島県と、地元の広島県を希望しました。実は生活環境も林業をする環境も福島県がとても魅力的でギリギリまで悩んだんです。ただ、実家が遠くなると親に何かがあったときにすぐ駆けつけられない不安もあり、そういった生活面のリスクを軽減させるため、地元も選択肢に入れました。

もう一つは、南会津町の団体に参加したときに、地元の方々が愛着を持って“会津の山”について語られていたんです。そこで「林業をやるなら昔から知っている愛着のある土地の山に貢献したい」という思いが強まったことも大きな決め手です。

小山:候補地を増やそうとは思わなかったのですか?

三宅:二つの地域を調べるだけでもかなりの労力でしたから。他の候補を調べるためには、大変な時間がかかると思ったので、候補地は2つに絞りました。

小山:選考はどのように行われたのでしょう?

三宅:一般的にはエントリーシートを提出して面接を重ねるんだろうなと思ったのですが、会社に連絡をとったら社長から「一度来てみてよ」と誘っていただいて。初めて会ったときに「いつから働けますか?」と言われまして。社長の気さくで実直な人柄にも惚れましたし、初心者でも安心して働くことができることもよくわかりましたので、これを逃す機会はないと即決しました。

小山:まさに足で得た機会ですね。こうしてお話を聞いていると、積極的に「就きたい仕事」に関わることの大切さを、こちらが教えていただいた気持ちです。今日は就職後の働くお姿も初めて拝見できて嬉しかったです。

三宅:こちらこそ本当にお世話になりました。

地⽅で働く「いま」について

―ここからは、地方就職をして1年目の三宅さんに、今のしごとや暮らしについて語っていただきます。現在のお仕事内容は?

三宅:山の敷地整備や木の伐採などです。特に今は山頂付近で鉄塔を建てる際の足場の敷地整備をしています。山の中では自然が相手ですので、安全面の徹底は常に社長や先輩から教えてもらっています。仕事で実感したのは“声掛け”の大切さ。山では危険が隣り合わせです。道もないような場所で木を伐採することもあるので、作業をするメンバー同士のコミュニケーション不足は命に直結しますし、その大切さを日に日に実感しています。

 

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―都内で働いていた頃とは仕事をする感覚も変わりましたか?

三宅:はい。想像していたよりも肉体的にしんどいですが(笑)、やっぱり“山いじり”が好きなので毎日が楽しいです。汗を流して整地した敷地を見ると達成感も大きいですし、依頼主から「きれいになったなあ」と言ってもらえたときには喜びもひとしおです。自分が出来る仕事の範囲で、しっかりと価値や結果を生み出さないといけない。そんな働く感覚を肌身で感じられる仕事です。

 

―これからの目標をお聞かせ下さい。

三宅:まずはしっかりと木を切れるようになりたいです。木を切る際は、倒す方向がすごく大事で、例えば隣に家が建っている場合、切り方を間違えてしまえば家を壊しかねない。狙った方向に木を倒す技術を磨いて、一人前の“きこり”になるのが当面の目標ですね。

技術を身につけたあとは、植林・育林にも興味があるので、広い視野を持って山を守っていけるような職人になりたいと考えています。

 

―東京から広島へと移住したわけですが、暮らしぶりに変化はありましたか?

三宅:東京は利便性が高く住み心地も良いので、広島に戻った当初は交通の不便さに苦労しました。電車の本数が少ないとか、目的地の近くに駅がない上、車で片道2時間とか。でも、再び住んでしまえば慣れるものですね(笑)。今では苦だとは思わなくなりました。地元の友達と会う機会も増えましたし、仕事を通して新しい友人も増えて、交友関係は広がったと感じています。

 

―今後、個人的に取り組んでいきたいことはありますか?

三宅:今、外国人への日本語教育のボランティアに参加しているんです。ボランティアを通して海外の方との交流を深め、広島県の良さを知ってもらいたいということ。あとは登山ですね。都内に住んでいた頃から登山が趣味だったんですが、広島でも地元の山岳会があるんです。今後は山岳会に参加して地元の山に登りたいと考えています。

 

地方就職を志すLO活生の皆さんへ

―三宅さんが地方就職を経て得たものは何ですか?

三宅:まずLO活との出会いが自分を突き動かすきっかけになりました。そして、相談員の小山さんをはじめ、いろんな方にお世話になったことは、今でも大きな財産になっています。それも自身の「好き」や「興味」に正直に行動できたからこそ、出会えたご縁なのかなと思っています。

 

―最後にこれから地方就職を志す皆さんへアドバイスなどあれば教えて下さい。

三宅:好きなことや興味を諦めず、後悔のない就活をしてほしいです。弊社では社長が「人には向き不向きがあるので、できることを探していけばいい」ということをよく話していて。例えば林業であれば、高所恐怖症の人でも重機の扱いが上手ければ活躍できますし、僕のように初心者でもこうして一から丁寧に教えてくれる職場もあります。ですので、就活でも可能性を自ら狭めず、できることを追求していくことできっと、うまくいくはずです。

 

取材を終えて

取材を通して印象的だったのは、三宅さんが生き生きと仕事をする姿。職場の先輩方とコミュニケーションを取り合い、全神経を集中させて木を切断していく姿は、1年前はスーツを着て事務職をしていたとは思えない「林業に携わる人」そのものでした。

情報を収集し、イベントや現地へ赴き、「就きたい仕事」に積極的に関わること――。就活の基本とも言えそうなこれらに、実直に、ひたむきに取り組まれた結果が、今の生き生きとした三宅さんの姿につながっているのではないでしょうか。

 

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