地方で生きる

離島で働く 佐渡島編 Vol.2

営業は東京で、制作は島で

島に移住。響きはとても良いけど、本当に暮らしていけるの?そう思う人もいるのではないでしょうか。島出身でUターンを希望している人、島暮らしに憧れて移住したいと考えている人。島に移住したら仕事はあるのか、どんな生活が待っているのか、島での仕事と生活についてインタビューしました。

tane CREATIVE 株式会社
開発・制作部 構築課 課長
荒木康至 さん

新潟市出身。大学は関東に出ていたがUターンを希望し、新潟県の印刷会社に営業として就職。仕事がきっかけで佐渡島に来て以来、島に魅了され移住を決意。ウェブ制作会社での就職が決まり、2015年の4月に移住した。

 

佐渡島ってどんな島?

新潟県佐渡島は、新潟港から船で最短1時間で到着する島です。人口は56,000人(平成30年3月末)。島の形がS字型の日本海側最大の島で、東京23区と同じくらいの大きさです。島の北部・南部にはそれぞれ山が広がり、人が一番多く住む中央部には、平野が続いています。冬は雪国のイメージがある新潟県ですが、佐渡島はこの地形の影響もあり、本土に比べ積雪は少ない場所です。

自然豊かな佐渡島では、海の幸も山の幸もとても豊か。海では、カニ・ブリ・アワビ・サザエ・海藻類などが採れ、山では多種類のキノコや果物、そして清らかな水を使って作られる米など、食がとにかく豊富です。また、佐渡島は国際保護鳥に指定されているトキがいることでも有名です。

ー佐渡島ではどんな仕事をしているの?

tane CREATIVE(タネ クリエイティブ)というウェブ制作会社で、開発・制作部構築課にて、課長およびコーダーとして働いています。tane CREATIVEは主に、東京の案件を佐渡島で制作しています。デザインまで出来たら、その後が私の仕事。ウェブサイトがちゃんと機能するように、コーディングを行なっています。

なぜクリエイティブ・チームが佐渡島にあるのか、不思議ですよね。もちろん佐渡島内にもお客さんはいます。しかし、佐渡島内だけで営業をすると、お金は島内でしか回らない。それよりも、外貨を佐渡島に持ってくることが大事。なので東京では、代表やディレクターがお客さんとやり取りをし、佐渡島にいるクリエイティブ・チームが、東京で獲得した案件を制作する、という流れを作っているのです。

ー佐渡島を選んだきっかけは?

新潟県に生まれ育ちましたが、幼い頃に佐渡島には一度も来たことがなく、社会人になってから初めて訪れました。

関東の大学を卒業しましたが、当時、新潟市が一番住み心地が良いと思っていたので、新潟市の印刷会社に営業として就職。そこから数年たち2000年に、半分仕事、半分プライベートで佐渡島に来る機会があり、初めて上陸しました。

景色も文化も新潟市とは違い、島に興味を抱くように。その時は冬だったので、また暖かくなってから来ようと思い、春にプライベートで再来島。そこから何度も来島しました。訪れれば訪れるほど新しい発見があってまったく飽きない。どんどんハマっていき、移住したいと感じるようになりました

ーどうやって仕事を見つけたの?

もともとは営業職でしたが、佐渡島に通っている時がちょうどインターネットでホームページを作ることが流行り始めた時。見よう見まねで、佐渡島の旅行記をホームページにしてみました。それがいつの間にか本業になって今に至ります。

佐渡島には、2003年頃から移住をしたいと思っていましたが、なかなか思う仕事に巡り会えずにいました。しかし2015年4月、10年以上知り合いの島民が、いい会社があると紹介してくれました。その会社がtane CREATIVE。就職が決まり、移住しました。

ープライベートはどう過ごしてるの?

お祭りやイベント、マーケットなどが盛んなので、それらによく行きます。仲間内で年に1回「寒ブリを食う会」という、ぶり1匹か半身を島民や移住者で仲のいい人たちみんなで食べ尽くす会があり、そういうのにも参加しています。また、2017年に佐渡島の人と結婚したこともあり、ここ最近は家探しもしていました。

ー島に暮らしてみた感想は?

佐渡島は移住してもまったく飽きず、奥深いです。10年以上通い続けてから移住したので、だいたい知り尽くしたかと思っていましたが、移住した今でも、新しい発見がたくさんあります。

船は思っているほど欠航はしません。海が時化ると、コンビニに物が入ってこない時もありますが、スーパーにはほぼ物があるし、離島だからこその不便さはあまり感じないです。週末にデパートへ買い物をしに新潟市に行く人がいるほど、本島とも距離が近い。関東周辺に住んでいて、週末東京に遊びに行くような感覚で住むことができます。

離島暮らしが大変だと思う点は、普段の生活ではほとんどありませんが、子どもがスポーツをやっていて遠征をする場合、お金がかかるとは感じます。地区大会が新潟市だとして、それ以上進むと新潟県内でも遠い場所。移動費のみならず宿泊費もかかるので、そこは少し大変ですね。

ー今後の目標は?

目標はたくさんあります!佐渡島にはスポーツの大会が豊富にあるので、何かしらに参加してみたいですね。自転車とかもやってみたい。あとはキノコ採りもしてみたい。

仕事では、より技術的な面を磨いていきたいです。今まで主流だったホームページの運営の仕方も、時代の流れと共に変わっていきそうなので、新しいことをどんどん学んでいきたいです。佐渡島にいるからといって、技術レベルが低くていいわけではないので、同業者に驚かれるくらいに技術を上げていきたいです。

ー離島移住を目指す人に、佐渡島をオススメする?

佐渡島は「離島」と言っていいのかと思うほど、良い意味で離島感がありません。スーパーもコンビニもあり、頻繁に船も出ていて不便さをあまり感じない、地方都市のようなもの。島民の人も移住者にやさしいので移住しやすい場所だと思います。

もちろん郷に入れば郷に従え、ということはあります。ただそれはどこに移住しても同じこと。良いところも悪いところも引っくるめて、佐渡島移住はおすすめですね。

海もある。山もある。離島なのに平野もある。果物もみかんやりんご、キウィも同じ島で採れる稀有な気候の島。野菜も米も、もちろん魚もなんでもあるので、食にはまったく困りません。

仕事に関しては、私はこだわりがあったので、移住までに長く時間がかかりましたが、求人自体はたくさんあります。離島移住を考えている人は、佐渡島もぜひ候補に入れて、一歩踏み出してみてください。