イベントレポート

「はじめてのローカルキャリア」
19/8/21 LO活プロジェクト主催イベント連動予告記事

アフリカに関わるために東京から金沢へ
―― 夢に向かって着実にキャリアステップする、ローカルキャリア実践者の本音

地方で新たな働き方を求める人に向けたイベント「はじめてのローカルキャリア」が8月21日にLIFULL HUB(東京・半蔵門)で行われる。
イベントの登壇者の1人である佐久さんは、大学在学中に参加したNGO活動を機に、アフリカに仕事で関わることを志し、現在は金沢に拠点を置く環境系装置の製造販売を行う中小企業に勤務する。
アフリカと金沢、いったいどのような経緯・考えで移住し、働くに至ったのか。佐久さんが感じた地方で仕事をするおもしろさや利点、地方での暮らしや生活してみての気づきなど率直に語ってもらった。

 

※佐久志歩さんは、8月21日に開かれる「はじめてのローカルキャリア~LO活×CARRER FORの大喜利イベント~」に登壇予定です。

 

佐久さんはこんな人

明和工業株式会社 海外事業部勤務。1983年長野県諏訪市生まれ。山に囲まれた田舎で育ったことで感じた都会との情報量の差から、高校時代には世の中の格差について問題意識を持つ。千葉大学法学部在学中に1年半休学しアフリカでインターンとしてNGO「Human People to People」の活動に参加。「ビジネスを通してアフリカの課題を解決したい」というビジョンを実現するために英国の大学院でBOPビジネスを学ぶ。2011年にマーケティングリサーチ会社・マクロミル入社。2014年に一般社団法人RCFで、大手人材会社とのソーシャルセクターへの人材流動促進事業や省庁との復興支援事業などを担当。2017年に金沢市にある明和工業株式会社へ転職。現在、海外事業部に所属し、アフリカの環境・農業分野にて自社装置を起点とする新規事業開発を行っている。

アフリカに一番近づけると思ったのが独自の技術を持った金沢の中小企業だった

―「援助という形でなくビジネスを通してアフリカの人たちの暮らしを良くしたい」と、大学時代に目指したことからブレないキャリアを築いていらっしゃいます。実際にアフリカでNGOの経験もあり、東京での就職を経て金沢へ。なぜ金沢だったのでしょうか?

 

実は約2年前に東京で転職活動を始めたころは、地方で働くことはまったく考えていませんでした。大学4年の時にアフリカの現地でNGOに参加し、卒業後は、将来的なアフリカへの応用を念頭に置きながら、リサーチ会社にてグローバル企業の日用品マーケティング支援、さらにRCFでは企業や自治体の社会事業支援とキャリアを積んできました。30代になってからの転職活動は最終着地点にするために、アフリカ現地に拠点を持つ企業を中心に探していたんです。

そんなとき偶然、今の会社(明和工業株式会社)を知りました。農業施設の集塵装置等の環境プラントの設計・製造を行う国内ニッチトップ企業が、未利用バイオマスを燃料や農業資材として利用可能な炭へ変換する炭化装置をアフリカへ本格展開することを見据えて新設した「海外事業部」のメンバーを募集していました。

この海外事業部のアフリカ展開の仕方は、例えば炭化装置を導入してもらうにあたって、ただ販売するのでなく、行政と連携して現地の自治体や農家を巻き込みながら、地域に根差した炭の生産と農業利用の仕組みづくりから関わるというもの。つまり「仕事を通してアフリカの人たちの暮らしが改善する」という、目指していたものに近しい仕事だと感じたんです。

また企業が持つバイオマスという独自の技術も魅力でした。実際、今のアフリカで廃棄物(未利用バイオマス)処理と気候変動対応型農業の推進という二つの主要課題の解決策となる技術をもった企業はほとんど無く。それゆえ小さな企業ですが、国などの中枢にもつながる大きなプロジェクトに関われるチャンスがあると思ったんです。特殊技術をもった地方中小企業の方が有効なサポートや連携相手を得やすく、アフリカの大きな課題に向かう最短経路を見つけられる位置にもある。――地方から世界へ、キープレーヤーとして関われる可能性に強い魅力を感じました。

これらをふまえて「これは東京にいるよりも地方の中小企業に行った方がアフリカに近づけるぞ」と入社を決意するに至りました。

 

明和工業株式会社インターン中の佐久さん(中央左) 明和工業株式会社インターン中の佐久さん(中央左)

「はじめてのローカルキャリア」でも届けたい。不安を払拭してくれた生きた現地情報

―転職活動当初は地方へ行くことは想定外。それまでの佐久さんにとって金沢は何の縁もない場所です。戸惑いはありませんでしたか?

 

少しは迷いましたが、あまり気になりませんでした。東京で築いた交友関係などは自分がどこに居ても不変と捉えているので、移住を期にすべての環境が変わってしまうとは思いませんでした。何より場所を理由に自分の挑戦を止めるということはしたくなかったので。

 

―知らない土地に移住する不安よりも、やりたい仕事を優先させたわけですね。

 

不安を払拭するという意味では、地方就職を支援する団体の方に早い段階でつながることができ、転職活動をしながら金沢の地域情報も同時に得ていたことも大きかったです。その人起点で、移住したての段階から金沢のおもしろい人が集う場や、地域の良さに触れるイベントに参加する機会をもらいました。

そうやって地方で暮らす方のリアルな声を聞かせてもらうことで、観光に訪れるだけではわからない金沢のイメージが濃くなりました。地域を知り、入り込んでいくには、その地域のコーディネーター的なキーマンにつながると良いというのは、前職で私自身も(地域特化ではないものの)コーディネーターをしていたので体感でわかっていましたので(笑)。私がさほど不安にならず移住を決められたのはコーディネーターさんはじめ、転職活動中に知り合えた移住先の皆さんのおかげです。

 

―「はじめてのローカルキャリア」もそういった、最初のつながりの場になるといいですね。

 

そうですね、ネットだけではたどり着けない生きた情報をご提供したいです。このイベントの登壇者には、地方転職を考える人の様々な疑問や不安に応えられるだけの経験の方たちが集まっていると思います。また現在の活動地域に限らず、皆さん全国各地とのネットワークもあるので、参加者の方自身が気になる地域についてもご相談いただければ、きっと詳しい人につないでくれると思います。

来てくださった方々は、同じローカルキャリアに興味がある同志のようなものですから、来場者さん同士でつながる場であってもいいですね。かくいう私自身にも興味関心の合う、今後一生付き合える仲間に出会える場になるかもしれないという期待があります。

 

地方移住を通してより思いを強くした「自分ごとで動く」という考え

佐久さんはCAREER FORが出版した『ローカルキャリア白書 未来の働き方はここにある』にも、ローカルキャリア実践者としてご協力されています。ほかの実践者の意見などご覧になっていかがでしたか?

 

※『ローカルキャリア白書 未来の働き方はここにある』
…CAREER FOR(一般社団法人 地域・人材共創機構)が今年発行した冊子。地域に関わる働き方=ローカルキャリアとはなにか、そのような働き方を選択するきっかけや得られる経験とはなにか、ローカルキャリアを育む地域の要件とはなにか。24名の実践者インタビューと、東京と地方都市(釜石・七尾・塩尻・雲南・岐阜エリア)における働きがい&働きやすさの意識調査を通じて、研究・分析。未来の働き方を提案する。

・WEBから無料ダウンロード:https://forms.gle/c4DAgEGRjjtjyRHy5

 

こんな風に地域に関わって、こんな風に感じている人がいるんだって。私自身も気づかされたことが多い内容でしたし、登場する実践者の方々に勝手に“仲間”感を抱きました(笑)。

およそ2年間、金沢で暮らす中で、地域のイベントなどで新しく出会った方々。仕事柄、農業関係の経営者が多いのですが、そういった方々の抱える課題というものにも興味を持つようになりました。農家の担い手不足など、現代社会が抱える社会課題にもリンクしていて、それらがより身近になりましたし、私自身もいまの「ふるさと」に対して何かできることはないかを考えるようなりました。ローカルキャリア白書にある方の経験談として以下の一文があるのですが……、

「地域の人たちのやりたいことを自分の腑に落とすことがちゃんとできていないと、失敗する。自分ごとで動くこと。自分ごととして意志を込めないと協力してくれない」

とても共感を覚えました。関わるからにはすべて“自分ごと”であること。「〇〇のために」ではなく、「自分がやりたいから」であるかどうか。叶えたいことが本当に対象にとって価値があると信じ切って、強制するのでなく一つの選択肢として提案すること。“自分ごと”であれば、たとえ反発されたときも、へこたれずに粘り強く解決を模索できると思うんです。

この考えは、国や地域、そこに住まう人々を巻き込んでひとつのプロジェクトを実行するという現在の仕事にもつながること。元よりあった理念でしたが、金沢に住まい、色んなものを金沢からもらっているからこそ、何か返したいと思うようになって、より想いを強くしました。

ローカルキャリア白書には、そのほかにもたくさんの方々の体験談が掲載されています。地方への転職や就労場所を変えることは、大きな決断です。1人で考えるよりいろんなサンプルを知ったうえで決めていくのが自然だと思いますし、本書も今度開催されるイベントも、いろいろな考えや選択肢を知る機会として活用してもらえたら嬉しいです。

 

 

地域イベントに参加する佐久さん(中央左)<br />
地域イベントに参加する佐久さん(中央左)

イベント紹介

8月21日(水)19時~、地下鉄半蔵門・麴町駅最寄りのLIFULL HUBにて佐久さんも参加し開催される地方就職、転職、移住応援イベント「はじめてのローカルキャリア~LO活×CARRER FORの大喜利イベント~」が開催されます(参加費無料)。

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