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第12回「LOCAL×はたらく」を考える 第12回「LOCAL×はたらく」を考える

第12回「LOCAL×はたらく」を考える

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法政大学大学院政策創造研究科教授  坂本 光司 氏
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法政大学大学院政策創造研究科教授  坂本 光司 氏

1947年静岡生まれ。専門は中小企業経営論、地域経済論、福祉産業論。静岡文化芸術大学教授、福井県立大学地域経済研究所招聘教授などを経て、2008年より法政大学大学院政策創造研究科教授に。現在は同大学院中小企業研究所所長ならびに静岡サテライトキャンパス長を兼任。8000社以上の企業調査を基に執筆したベストセラー『日本でいちばん大切にしたい会社』のほか、著書多数。

人を大切にする会社は業績も安定し長続きする!

人を大切にする会社は業績も安定し長続きする!

私はこれまでに、8000社を超える企業を自分の足で訪問し、実際に見てきました。その経験からわかったのは、「いい会社」には共通点があるということです。それをたくさんの人に伝えたいと考えて『日本でいちばん大切にしたい会社』という本を書きました。

 

私が考えるいい会社とは、「人をとことん大切にする正しい経営を一途に行っている会社」です。業績を高めたり、ライバル企業との勝ち負けを競ったりするのではなく、組織にかかわる全ての人々の永遠の幸せを追求・実現するための活動に取り組む会社であり、そうした「いちばん大切にすべきことを、いちばん大切にする経営」が行われている会社は、例外なく業績も伸びていることがわかりました。

 

いい会社は、人本位の「人本経営」が行われています。「人の幸せ」をいちばんの目的とし、経営者が社員とその家族の幸せづくりに全身全霊で取り組んでいるのです。逆に言えば、社員とその家族を犠牲にするような会社で、安定的に業績が高い会社というのは、歴史上存在していません。人を大切にする会社はつぶれませんし、景気に業績が左右されないので、安定経営が可能です。

 

その選定基準は明確です。「社員とその家族」「仕入れ先や協力企業等で働く社外社員とその家族」「現在顧客と未来顧客」「地域住民、とりわけ障がい者や高齢者等の社会的弱者」「出資者や関係機関」という5人のステークホルダー(利害関係者)を大事にしている会社であるかどうかです。

 

本を出してからは、いろいろな人からの反応がありました。「先生のおかげで迷いが消えました」とわざわざお礼を言いにきた学生もいましたし、会社をつぶしてしまった経営者からは「私の経営は間違っていた。偉い先生が書いた本を何百冊も読んだが、それでもうまくいかなかった。もっと早くこの本に出合っていればよかった」とお手紙をいただいたこともあります。

 

同時に、「いい会社をつくるためには具体的にどんなことをしたらいいのか」という声も多かったのも事実です。そこで、これまでの経験から、「社員と社会を幸せにする会社かどうかを判断するための100の指標」というものをまとめました。「社員に関する指標」「現在顧客と未来顧客に関する指標」「高齢者・女性・障がい者に関する指標」「社員の確保・育成・評価に関する指標」などの10章からなる100の指標です。

 

指標が100個ですから、100点満点です。経営者は自分の会社が何点になるかによって、社員をどれくらい大切にしているかがわかり、さらに何が足りないかもわかるというわけです。

 

そしてこの指標は書籍にもなっています。会社選びをしている学生さんや若手社会人の方が、会社を判断する際にも参考にしていただけるのではないかと思います。

「いい会社」は地方の方が多い!?

「いい会社」は地方の方が多い!?

「いい会社」というのは、日本中どこにでもあります。神様がバランスのとれた国土形成を願って均等に生んだのではないかと私はよく冗談半分で言うのですが、都会にも、地方にも、場所を問わずいい会社はたくさんあるのです。

 

よく地方に行くと、自治体の人が「うちの地域にはいい会社がないから誘致する」などと話すのを聞くのですが、私に言わせれば「あなたの街には素晴らしい会社がいっぱいあるじゃないか」と怒ることもあるんです。

 

会社の要は「従業員」です。人が入ってこなければ、会社は成り立ちません。人がたくさん集まる大都会は、企業の数が多くとも、多少乱暴なことをしても人員確保はしやすい側面があります。一方、地方は企業の数はもちろん、情報そのものも少なく、人も集めにくい。地方の会社は人を集めることが命題なんです。

 

だからこそ、人を惹き付けるような会社にしておかなければいけません。どれだけ優秀な会社であっても、労務倒産(黒字であるにもかかわらず、人手不足などの労務問題によって引き起こされる企業倒産のこと)の危険は避けられません。「人材確保のためにもいい会社を目指そう」という意識が高い会社が多いという点で、都会よりも地方の方がいい会社は多いと言えるかもしれませんね。

 

都会と地方という観点で会社を比べるなら、都会の方が「ナンバーワン」や「規模の優位さ」を誇る会社が多く、地方は逆に「オンリーワン」の会社が多いと言えるかもしれません。価格競争よりも非価格競争と言い換えられるのかもしれませんが、「そこにしかない」という点は一つの大きな魅力となっているはずです。

 

そして、「浪花節」というと大げさかもしれませんが、家族的で、管理型ではない会社が多いのも地方の特徴でしょう。私は「大家族的経営」と呼んでいるのですが、社長はお父さん、部長・課長は管理職ではなくお兄さん・お姉さん、若い社員は部下ではなく弟・妹というような位置づけで経営を行っているので、都会にありがちなギスギス感よりは、ほわっとした家庭的な空気が流れる会社が多いんです。

 

実際にどのような会社があるかについては、私の著書をご覧いただくか、下記の「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」のサイトをご覧ください。

https://taisetu-taisyo.jimdo.com

「いい会社かどうか」は自分の足で確かめること!

「いい会社かどうか」は自分の足で確かめること!

日本には、約380万の会社があると言われています。その中から何社かを選ぶなんて、サハラ砂漠の中に落としたダイヤモンドを拾うくらい難しいんです。だからといって諦めてはいけません。後悔しないように、あらゆる努力をするべきです。

 

まず、いい会社を見つけるためには、アンテナを高く持つこと。「コップの理論」のように、こちらが常に情報を受信できる状態になっておくことが大事でしょう。情報を受け取るという点では、「聞く耳を持つこと」も大事です。努力も大事ですが、自分の「姿勢」によって得られる情報もあるのです。たとえば「聞く姿勢」を持たなければ、どんなに有益な情報でもつかめません。

 

そして何より大事なのが、自分の足で現場を知ることです。ホームページや本、雑誌、新聞などで得た情報だけを鵜呑みにし、いい会社だと決めつけるなんてとんでもないことです。将来自分が就職するかもしれない会社ならなおさら。自分の目と足で確かめてください。

 

興味のある会社なら、一度自分から電話をして「訪問させてください」とお願いしたらいいと思います。人を大切にする会社は「会ってほしい」という連絡を断らないと思います。ただ、タイミングは非常に大切です。選考時期に入ってしまうと、会社側も選考モードに入ってしまいますから、タイミングとしてはそれより前、面接とは別に会社に足を運んでみてください。

 

特に中小企業は良くも悪くも社長の影響力が強いので、社長に会って話すことで得られるものは多いはずです。また、職場見学させてもらって会社の空気を感じたり、働く社員の表情を見せてもらったりするだけでも、その会社のことがよくわかるはず。いくら社長や管理職の人がかっこいいことを言っていても、現場で働く社員の表情や目つきはごまかすことはできませんから。

 

もちろん、先に話した「100の指標」について確認できれば、会社への理解は深まるはずです。しかし、それを全部聞いていたら時間がいくらあっても足りませんから、できれば「社員教育」や「離職率」、「社会的弱者への対応」など、「人に対する考え方」が表れやすい部分について質問してみるのがいいと思います。

 

大前提として、本当に社員を大切にしている会社は、社員が辞めないんです。ここにいた方が幸せだと思える会社や大切にしてくれる上司を裏切る人なんていないのですから。「ここにいるとダメになる」と思うから人は辞めるんです。給与や待遇なんかで、人は辞めないんですよ。

 

そうした「人を大切にする会社」を、学生はもっときちんと選ぶべきです。そうすることで、健全な市場機能によっていい加減な会社は駆逐され、ブラック企業は抹殺されるのですから。良貨が悪貨を駆逐する健全な未来が訪れるかどうかは、実は学生さんたちが握っているんですよ。

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