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スペシャルインタビュー

第2回「LOCAL×はたらく」を考える 第2回「LOCAL×はたらく」を考える

第2回「LOCAL×はたらく」を考える

慶應義塾大学大学院 教授  岸 博幸 氏
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慶應義塾大学大学院 教授  岸 博幸 氏

1962年9月1日生
一橋大学経済学部卒業後、通商産業省(現・経済産業省)入省。資源エネルギー庁長官官房国際資源課等を経て、2001年、第1次小泉純一郎内閣の経済財政政策担当大臣だった竹中平蔵氏の大臣補佐官に就任する。その後は金融担当大臣、郵政民営化担当大臣、総務大臣の政務秘書官を歴任。「官僚国家日本を変える元官僚の会」の設立に参加するなど、「脱藩官僚」としてテレビのコメンテーターなどで活躍。地域再生などをテーマにした講演なども行う。エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社の顧問なども務める。

国の政策も目を向ける「地方」の可能性

国の政策も目を向ける「地方」の可能性

先進国の中でも、フランスやイタリアは地方が豊かだと言われます。その意味で、「都会や大企業を中心に経済を考える日本はまだ途上国だ」とおっしゃる財界の方もいるくらいです。ですから、「都会だけでなく地方も含めて景気をよくしていこう」というのが、安倍政権が力を入れる“地方創生”のあり方です。

現状は、自治体が自ら「地元の特色を生かした産業強化のための戦略」を考えているところです。この地方版「総合戦略」は来年3月までに各自治体が策定することになっていますから、4月以降は地方の様々な取り組みを今以上に目にすることになるはずです。

そうしたことも含めて、私は地方はこれからもっと面白くなると考えています。なぜなら、地方の方がビジネスチャンスが多いからです。既にモノやサービスが足りている都会では、若者が新しいことを始められるチャンスは少ないでしょう。でも、人口減少・高齢化などの問題が顕在化している地方では、圧倒的に人手が足りません。特に若者です。地方経済を元気にするには、若い人の力が不可欠です。例えば、地方の主要産業である農業も、その従事者の平均年齢は66歳といわれます。仕事を通じて誰かに喜んでもらえたり、成果を実感するという観点からも、若者にとって地方はチャンスに溢れているわけです。もし大企業に入ったとしても、当分は「大勢の中の一人」です。最初から物事を自分で動かし、やりがいを感じながら働く経験は、そうできることではありません。

グローバルで発揮できる「自分の強み」は地方でこそ見つかる!

グローバルで発揮できる「自分の強み」は地方でこそ見つかる!

日本の本当の良さ、本当の強みは、地方にしかないと思います。なぜなら、都会例えば東京などは既にグローバル都市であり、日本の良さは見つけにくいからです。地方というローカルにこそ、日本らしさがたくさんあるというわけです。

今後、日本は今以上にグローバル化が進むでしょう。グローバルの中で発揮できる「自分の強み」が何なのかを認識していくことが求められますが、その時に、日本らしさを知らないままにグローバル的な感覚になってしまうことは、単純にもったいないと思いませんか? 日本らしさを自分の強みに変えていくという点でも、仕事をし、人間形成をするという点でも、地方で暮らしながら日本の良さを知っておくことは、とても意義のあることだと思うのです。確かに、子供の頃はモノや情報が少ない地方は退屈だったかもしれません。でも、分別の付く大人になった今なら、地方の良さも分かるはずです。

政府が当面強化しようとしている分野、例えば農業や、介護・医療・保育などの領域は、政策との関係でも今後雇用機会は増えていくでしょう。個人的には、自動車に代表される製造業の二次請け・三次請けを担うような中堅・中小企業の中に、面白い会社が多いように感じています。素晴らしい技術を持つのに、経営戦略的なところで頭打ちになっていて、伸び悩んでいるところも少なくありません。そういう会社に若い人が入って、野心を持って経験を積むことができたら、それは貴重な財産になると思うんですよね。

プライドばかりで何もできない人は、地方では相手にされない

プライドばかりで何もできない人は、地方では相手にされない

今の学生は地方のことを知りませんよね。それ以前に、情報収集する場合の底が浅いように感じます。Wikipediaでちょっと調べて分かったつもりになる、ネットに情報がなければそれで終わり、そんな人が多いのではないでしょうか。企業研究するにしても、会社を実際に訪れるなど自分の足で情報を探すべきだし、ネットの情報が全てではないことを理解した方がいい。私は終身雇用制度はいずれ崩壊すると考えていますが、それでも5年・10年の人生を共にする職場ですから、もっと真剣に情報収集しないと後悔すると思います。

あとは、受け身の学生が多い。今の詰め込み型の教育制度は、問題は先生が与えてくれて、1つ用意された正解を見つけられればいいという考え方です。しかし、ビジネスの世界では正解は複数あって、それを自分で探し、さらに前例にとらわれないクリエイティブな答えを作っていかなければいけません。意識して、足りない部分を強化することに取り組んでほしいと思います。

それは、コミュニケーション能力が低かったり、自分に自信を持てない学生が多いことも同じです。特に、自分に自信を持てない背景には、学歴や経験がないことを理由にしている人も多いようですが、これからは学歴なんて関係ありませんよ。政策の世界で「奇跡の村」といわれている長野県・下條村という場所があるのですが、そこで画期的な政策を次々打ち出している村長さんは高卒の方です。東大卒ばかりのエリート官僚よりも、よっぽどすごい仕事をしています。それが今の日本の実態なのです。

地方に行けば、プライドばかりで何もできない人は、誰からも相手にされません。それよりも、地べたを這いつくばってでも一生懸命に取り組める人の方が評価されます。だからこそ成長できるし、都会にはない面白い仕事ができるのではないかと思います。

 

(掲載日:2015年11月6日)

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