インタビュー

地方就活成功に向けて~内定者インタビュー【1】

インターンシップを経て、地元長野での就職を選んだ理由

東京圏や大阪圏の大学に通う学生で、地元や他の地方での就職も考えている人は、周囲に地方での就活を行った先輩が少なく、事例を聞く機会が少なくて困っている方もいるかもしれません。

LO活事務局では、そんな方に向けて、直近で就職活動を行っていた内定者の方にインタビューをお願いし、経験を聞かせていただきました。

希望通りの就職先を見つけた先輩たちは、何を考えて、どんな活動をしていたのでしょうか?

今回は、インターンシップを経て、地元長野の企業から内定をもらった大学4年生の小泉志穂さんのお話から、地方就職に必要な心構えや準備について学んでみたいと思います。

取材対象

小泉志穂さん                       

駒沢女子大学人文学部 住空間デザイン学科4年

長野県松本市出身。高校卒業後、好きだった歌舞伎関係の仕事に就くことを目標にするもかなわず、姉と同じ建築を学ぶため、住空間デザイン学科に進学。

大学生活はアルバイトや趣味の一人旅に熱中した。地元松本市の歴史文化に育まれた影響もあり、日本の伝統文化や古い建築が好き。

信越地域を管轄する住宅メーカーから内定をもらい、来春から地元長野での就業を予定している。

インタビュー内容

―どんな就職活動をしていましたか?

私は建築を勉強していたので、住宅・建築関連を中心に業種を絞って、就職活動をしていました。

いずれ地元に帰りたいという気持ちはありましたが、就職活動を始めるまで、大学卒業後は関東で働こうと思っていました。

複数の企業の選考を受けていくなかで、長野の企業も1社受けて内定をいただき、結果的にその企業に入社を決めました。

就職活動を意識し始めたのは3年生の春です。大学が実施するセミナーなどに参加していましたね。休みには2週間のインターンシップも経験しました。

本格的に就職活動を開始したのは3年生の11月からです。応募書類が作れなかったので、これはまずいなと思いました。また、大学の友人も建築関係の企業を早く訪問し始めたので、周りに影響を受けたというのもありますね。

<td align=日本の伝統文化を愛する小泉志穂さん。大学のゼミでは陶芸を選択している"> 日本の伝統文化を愛する小泉志穂さん。大学のゼミでは陶芸を選択している

―インターンシップを経験して、どのようなことが学べましたか?

3年生の夏休みに参加したインターンシップは、大学での単位取得が認められて、大学の先生がそれぞれの学生に合いそうな企業を選んでくださり、参加するというものでした。

インターン先は大学の先輩が代々、参加した企業に行くことが多いのですが、私は昔から好きだったファブリック関係(壁紙やカーテンなどインテリアの素材を扱う)の企業を希望し、2週間の長期インターンシップに参加しました。

その企業は駒沢女子大学からの学生の受け入れは初めてで、特に専用のプログラムなどはなく、社員の方と同じ職場で、実際の就業経験をさせてもらいました。

お客様からの電話をとったり、接客に出させてもらったり…。「会社でこうやって仕事が行われている」ということを学べて、とてもよい経験になりましたね。

それまでの就職活動では住宅メーカーを中心とした企業選びをしていましたが、インターン先の企業も選択肢の一つとして考えるようになりました。

内定先の企業に出会ったのも、インターンシップがきっかけです。

大学3年生の冬に行われるインターンシップに参加したいと思い、希望する業種でのインターンシップ情報を調べていたところ、内定先企業のグループ企業合同のサイトで、信越地方の企業でもインターンシップを募集していました。希望の業種で、かつ地元で開催されるインターンシップだったので申し込んでみたところ、選考に通過して参加できることになりました。

インターンシップは2018年2月に長野で、ワンデーで開催され、会社説明を受けた後、「お客様のニーズを聞いて住宅を提案する」というワークを行いました。

そのインターンシップに参加していた人たちが、地元好きな人が多くて。私はそれまで、東京の企業を中心に選考を受けていて、大学の友達も首都圏の企業への入社を考えている人がほとんどだったので、自分と同じように「地元のことが好きな人たち」に会うのは初めてでした。「この会社は自分に合うかもしれない」と感じました。

 

―当初は東京での就職を考えていたのに、なぜ長野での就職を決断するに至ったのでしょうか?

就職活動の時期と重なって、実は長野の祖母が体調を崩してしまって…。両親は「長野に帰ってきて」とは言わなかったのですが、私は地元が好きで、祖父母のことも大好きなので「そばにいたい」という気持ちが次第に強くなりました。

そんななか、インターンシップ後に選考が進んでいた企業に魅かれたこともあり、長野での就職を具体的に考えるようになったのです。

地元で就職する人は、就職活動をする前から地元に帰ることを決めていて、地元で複数の企業の選考を受けることが多いと思います。が、私は先に業種を決めていたので、長野の企業で選考を受けたのは内定をいただいた1社だけでした。地方就活では珍しいケースかもしれませんね。

長野に帰ることに不安はまったくありません。東京での生活は楽しかったけど、やはり「地元が好き」という思いが強いです。

 

―これから就職活動を行う人たちに、何かアドバイスはありますか? 

「自分の周りに壁を作らないこと」が大事だと思います。私自身、インターンシップを通じて今まで知らなかった世界を知られてよかったですし、いろいろな人と話をする経験が大切だと実感しましたね。

 

また、選考の時に私が人事の方から評価していただいた点は、「自分の言葉で、自分の気持ちを表現していたこと」でした。応募書類を書く際も、ネットで検索すればすぐ文章の例文が出てきますが、そういう型どおりの文章を使うのではなく、自分の言葉でしっかり書けていることが評価されたように感じました。

まとめ

インタビューの間、自分の言葉でしっかりと語ってくれた小泉さん。

彼女が、納得がいく進路を選べた理由には、「就職するまでに、仕事がどういうものかというイメージをしっかり持てていたこと」と、「自分で考えて選択する力が身についていたこと」が挙げられます。

さらに、夏休みに2週間のインターンシップを経験したことで、ビジネスの現場や、社会人が仕事をするイメージを持ったうえで、その後の就職活動に臨むことができました。

高校時代から「自分は何が好きで、どう生きたいのか」を考えて、言葉にしてきた習慣が、満足のいく道を選ぶことや、選考において評価されることにつながったと感じます。

こうしてみていくと、地方就職であるかどうかを問わず就職活動では、就職活動に臨むまでの習慣や経験が、満足のいく結果に結びつくと言えると思います。

自分の言葉で考えること社会との接点を作ることー。これらの行動は心がけ次第で今すぐにでも始められるので、ぜひ意識的に取り組んでみてはいかがでしょうか。

 

※この記事に掲載されている情報は、2018年10月にサイトに公開した時点での情報です。