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特 集

【教えて!海上先生】どんな魅力があるの?
 中小企業への就職、大企業への就職 <講演録 Vol.3>

【第3回】大企業と中小企業、 どちらが 昇進しやすいか?


											

みなさんこんにちは、海上(うなかみ)です(※)。

前回の講義では、中小企業と大企業で選べるライフスタイルの違いについて考えました。今回は、働く人の大きな関心事。「昇進・昇格」について見ていきましょう。
(※文末に略歴)

 

(この講演録は、海上委員が行った講演を「地方人材還流促進事業」事務局にて、特集記事としてまとめたものです。)

 

 

■大企業と中小企業、どちらが昇進しやすいか?

大企業と中小企業、どちらが昇進しやすいのでしょうか?
昇進や昇格をすれば、給料・待遇が上がり、権限が拡大し、自己実現にも近づきます。就職先を決める際にも非常に気になるポイントです。働き手へのインタビュー調査から、現場の声を抽出してみましょう。

図-1 働き手インタビュー結果 ~大企業と中小企業の昇進の難易度の比較


											
図2
出所:日本公庫総研レポートNo.2104-6「働く場としての中小企業の魅力」(以下の図表も同じ)

例えば、福岡の女性の回答者は、「中小企業は、ステップアップが身近。昇格の可能性も大きい。私の会社も頑張れば早かった」と言い、福岡の男性は、「組織が小さいから自分がどんなステップで昇進していくかわかりやすい」と言っています(図-1)。

また、役職やポストを目指すという意味以外でも、「中小企業は人数が少ない分、若手でも早く仕事をやらせてもらえるからやりがいが出てくる」などの声があり、早くから一人前に扱われ、一人当たりの仕事の幅や権限が広いところが魅力のようです。

一方、大企業での勤務経験もある宮城の男性は、「中小企業だと上を目指せる。大企業で働いている限りは、俺もいいとこ課長までだなと、20 代後半になると、みんな考える」と、現実的な感想をもらしています。

同じく、中小企業に転職してきた男性も「前職の大企業では社長にはなれない。出先の支店長ぐらいにはなれるかな。だったら、100人ぐらいの会社で、自分のやりたいことをやらせてくれる方がいいと思った。やりがいは今の方がある」と言っています。大企業では、この先の見込みがないから転職したという、これも経験者ならではの言葉ですね。

 

■中小企業の方が昇進しやすい!

図-2 勤務先の会社では、役員や部長に昇進する難易度はどのくらいか?


											
海上先生_Figure_180131_04

インタビュー調査から得た生の声を裏付けるために、働き手アンケート調査のデータも紹介しましょう。

同調査では、「勤務先会社では、役員や部長に昇進する難易度はどうですか?」という直球の質問に回答してもらいました(図-2)。その結果をみると、大企業では、約6割もの高い率で、「かなり難しい」と悲観的に捉えられています。言い換えると、大企業社員の3分の2弱は、経営幹部への道をほぼあきらめているのです。

これに対して、中小企業では、「ある程度、なれる見込みがある」など4割弱で昇進見込みがあると答えています。このように、大企業と中小企業で際立った違いがみえましたが、では、なぜこれほどの差が出るのでしょうか。

その理由を尋ねた質問もあります。やはり「中小企業では一つの役職当たりのライバルが少ない」ということです。中小企業だと数人の競争相手から勝ち抜ければよいが、大企業だと数十人から数百人の中から抜け出なくてはならない。つまり、中小企業には、逆スケールメリットがあるということです。

図-3 役員や部長などに昇進するのが難しい企業の理由とは?

 


											
海上先生_Figure_180131_05

昇進するのが難しい理由のなかで、ライバルの多さのほか興味深いのは、「部長や役員になるルートは大体決まっているため」という回答が大企業で多いことです。

これは、いわゆる「エリートコース」の存在です。
例えば、同期入社が300人いたとして、そこから、ある部署やプロジェクトのリーダーを選ぼうとなった時に、大企業では、その都度、300人全員の中から最適な人材を白紙に戻して選考するような手間の掛かることはしません。それ以前のふるいで残った20人なり30人の中から選ぶのです。

一方で、中小企業なら同期は数人~十数人くらいしかいないので、ならば、「このプロジェクトの性質なら彼がいいね」とか「彼は、あの部署では目立なかったが、この部署なら適任だ」とか、都度フラットに選考できるのです。こうしたリセットや挽回が可能なのも、中小企業の良さですね。

 


											

■昇進・昇格がしやすいと、仕事に取り組む意識も変わる

ところで、働き手は、日々、いろいろなことを意識しながら仕事に取り組んでいます。例えば、「もっと技術・技能・知識を習得しよう」とか「お客様を満足させよう」などを心掛けながら働いている人もいれば、「早く終わらせて帰宅したい」「一日一日の仕事を無難にこなすだけ」など、ちょっと消極的な意識で働いている人も少なくありません。

こうした意識は何らかの作用によって変わる可能性があります。実は、上で述べた昇進・昇格の難易度が大きな影響を与えていることがわかりました。

部長や役員になりにくい、つまり“昇進の難しい会社”と、逆に、“昇進の見込みがある会社”で、社員の意識の差について分析した結果、“昇進の見込みがある会社”では、「早く終わらせて帰宅したい」などの消極的な意識をもつ人が少なめでした。

しかも、“昇進の見込みがある会社”では、「将来のキャリア構想を実現したい」「会社にとって新しい技術の開発や販路の開拓をしたい」「会社全体の目標を達成したい」という前向きで積極的な意識をもって仕事に取り組んでいる人が格段に多いことがわかったのです。


											

今は、管理職になりたくない人が増えているともいいますし、とかく「出世!出世!」などというと下世話な欲望のように聞こえます。しかし、この分析結果から言えることは、人間はやっていることをきちんと認められ、それに見合った評価を得られることが大事で、そうでないと、やる気が出にくいということです。

逆に、きちんとした評価が得られれば、働く人々の意識は、会社全体の利益だとか未来への投資だとか、高い領域に向かっていく現象がみられます。

そして、もう一つ大事な点は、「仕事を通じて日本や世界に対して貢献したい」「将来のキャリア構想を実現したい」といった高尚な意識をもって働いている社員がいる企業は、明らかに業績がいいことが、同じデータを利用した分析でわかりました。

働き手の高い意識は、業績にも大きく影響するのです。「地域貢献」「社会貢献」「国際貢献」などは決して建前だけではなく、そういう気持ちで働くことと業績にも好影響があるのです。業績が好調だから、また素晴らしい人が集まる。お互いに好循環が起きていることは間違いなさそうです。

このように「昇進がしやすい」という点のほか、中小企業で働くメリットは、まだまだあります。同時に、弱みもあります。次回は、その両面について詳しく解説します。

 


											

【 講 師 略 歴 】
海上(うなかみ) 泰生(厚生労働省「地方人材還流促進事業」助言指導委員)
早稲田大学法学部卒業後、中小企業信用保険公庫、中小企業庁長官官房、通商産業省(現経済産業省)貿易局 課長補佐、
OECD(経済協力開発機構)パリ本部 輸出信用専門家会合委員、日本政策金融公庫総合研究所グループ長を歴任し、主席研究員(現職)。
埼玉大学大学院非常勤講師を経て、現在、横浜市立大学・立教大学・三重大学の3大学の講師を兼務。
所属学会 : 日本金融学会、組織学会、日本中小企業学会

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